【オーストラリア】〔政治スポットライト〕「もしトラ」、関税引上げで豪経済に打撃か
民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領の大接戦となっている米大統領選を5日(米国時間)に控え、トランプ氏が勝利した場合は米国の輸入関税が引き上がる見込みで、オーストラリア経済への打撃を懸念する声が出ている。また、ウォン外相やマールズ国防相は共和党の高官らとの関係確立でも奔走しているようだ。 トランプ氏再選の可能性が高まり始めた過去数週間は、インフレ上昇観測からオーストラリア国債の利回りが上昇しているほか、暗号資産(仮想通貨)への投資熱も高まっている。オーストラリア連邦準備銀行(RBA)は、きょうの金融政策決定会合で政策金利を据え置くとみる向きが多いが、世界経済情勢として米大統領選も検討事案となるとみられる。 トランプ氏は、全輸入品目に対する大幅関税引き上げのほか、暗号資産の規制緩和などの政策を打ち出している。アナリスト分析によれば、米国が中国への関税を60%に引き上げれば、オーストラリアへの打撃は中国に次いで2番目に大きく、国内総生産(GDP)を0.2ポイント押し下げるという。 ウォン外相やマールズ国防相は、トランプ前政権時に国務長官を務めたポンペオ氏を含む、次期米政権で高官に就くとみられる共和党や民主党の要人らのほか、国防省やシンクタンクの幹部らとこれまでに協議を行っているようだ。 トランプ氏が当選した場合は、豪米英の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」への影響や同氏とアルバニージー首相との関係などに注目が集まるとみられる。また、ある金融専門家は、暗号資産の利用が進む見込みでオーストラリアでも暗号資産投資が過熱するとの見解を示している。