アンティークセイコーの最高機種であるグランドセイコーが発表された翌年となる1961年。第二精工舎が世に送り出したのが、キングセイコーだ。“王”を冠したそのネーミングからもわかるとおり、第二精工舎の最高峰モデルに位置付けられたキングセイコーは、同時代のグランドセイコーと双璧なすアンティーク国産時計の代表格として現在の市場でも高い人気を誇る。 当時の販売価格はグランドセイコーが2万5000円だったの対して、キングセイコーは1万5000円と、1万円も安く設定されていたが、搭載されたムーヴメントの性能は大きく見劣りするものではなく、時計としての完成度は高かった。 【画像ギャラリー：この作り込みで10万円台はお買い得！？】

キングセイコー“44KS”。Ref.4402-8000。SS（35mm径）。手巻き（Cal.4402A）。1966年頃製

今回紹介するのは、そんなキングセイコーの第2世代にあたる“44KS”だ。 近年、セイコーが“キングセイコー”ブランドを復活させたが、その現行モデルとしてラインナップする“KSK”のもとになったモデルである。 この第2世代では、1stモデルでは省略されていたハック機能を復活させ、裏ブタにスクリューバックを採用することで、実用性の向上が図られた。発表は1965年で、後にクロノメーター優秀級に相当する精度を有した上位モデルや、デイト表示付きモデル（写真）が派生として登場している。 放射状の仕上げが採用されたシルバー文字盤に、多面的なインデックスやアプライド仕様のロゴ、幅の広いドルフィンハンドが配された、高級感のある顔立ちと、当時のこだわりの作り込みを感じる1本だ。