眞栄田郷敦とWurtSが語る、「表現の世界」で生きる決心をした瞬間
表現の世界へ進もうと思った瞬間
RSJ:八虎は母親の矢口真理恵(石田ひかり)から、将来安泰な道に進むことを望まれていて、それが八虎らしさだと思われていた。でも、八虎は周囲が思う“らしさ”を振り切って、藝大という表現を極める道へ進みました。お二人が表現の世界へ進もうと思った瞬間はいつだったのでしょう? 眞栄田:中学2年生の時、「将来は表現の世界に行きたい」と思ったんですよね。というのも、普通に会社員をしている自分が想像つかなかった。表現者として生きたいなと思って、高校を選んだのが最初の一歩でした。ただ、この仕事は自ら選んだというよりは、ご縁をいただいたから入ったんです。ひょんなことから映画に出演する話をもらって「数日後に監督と顔合わせがあるから」「いや、まだ出るかどうかの返答をしていないよ」って。そんな予想外の展開でしたね。新しいことに足を踏み入れるのが怖い人間なので、自分から行けなかったんですけど、数日後に顔合わせだったので…仕方がなく行った感じです(笑)。 RSJ:気づいたら滑走路に乗っているような感じというか。 眞栄田:そうなんですよ。本当に気づいたら乗せられた感じです。もちろん、今となってはありがたいご縁ですけどね。 WurtS:僕は大学生をしながら音楽活動をしていて。ちょうど大学を卒業するタイミングで「音楽をやっていくのか? 一般企業に就職するのか?」と選択する場面が訪れました。当時はWurtSという存在が、どんどんいろんな人に知られ始めていて「自分の表現しているものがちゃんと伝わっているな」と理解できた瞬間に、音楽を生業にしたいと決心がつきましたね。 眞栄田:ご両親はWurtSさんの活躍をどう見ていますか? WurtS:今は「あなたには音楽が一番の天職だよね」と言ってくれていて。「自己表現をするのがうまくないから、みんなのように器用には働けなかったと思う」って(笑)。ちゃんと音楽の仕事を頑張ってよかったです。 眞栄田:この世界は、結果を出したモノ勝ちですからね。結果を出したら誰も何も言わない。ただ、それまでは何を言われても仕方がないけど。 RSJ:自分の好きなことで食べていくためには、何が大事だと思いますか? WurtS:それをお答えできるのは、もっと先になると思います。自分の好きなことをして落ち込む瞬間がまだないんです。だから、アンサーを返せるのはこれからかなって。 眞栄田:僕は現実主義者なので、表現の道に進むのなら保険をかけるのは大事だと思うんですよ。「表現をしたい」と思いつつ、それとは関係のない大学に行くのもそう。だって、未来のことは自分にも分からないわけで。やる気も大事ですけど、それこそ才能の世界でもあると思うし、運があるかどうかも大きいと思う。やっぱり確実なものじゃないから、そこは楽観的になりすぎず、ちゃんと保険をかけておくのが大切な気がしますね。「守りに入らない方がやる気は出るんだよ」という人もいますけど、やりたいことを手にするためには、保険をかけることは大事だよなと思います。それによって心に余裕も生まれるし、視野も広がるので。 『ブルーピリオド』 大ヒット上映中 キャスト:眞栄田郷敦、高橋文哉 板垣李光人 桜田ひより、中島セナ 秋谷郁甫 兵頭功海 三浦誠己 やす(ずん)、石田ひかり 江口のりこ 薬師丸ひろ子 原作:山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社「月刊アフタヌーン」連載) 監督:萩原健太郎 脚本:吉田玲子 音楽:小島裕規“Yaffle” 製作:映画「ブルーピリオド」製作委員会 制作プロダクション:C&I エンタテインメント 配給:ワーナー・ブラザース映画 (C)山口つばさ/講談社 (C)2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会
Satoshi Shinkai