なり手不足で変わる地方議会、オンライン出席条例整備 切り抜き動画拡散で質問取り下げも
質問の機会を確保できなければ、健全な議論が阻害される恐れもある。市側は当初、中継映像の転載や複製を容認していたが、石丸氏の後任の藤本悦志市長は今年10月、転載・複製を禁止する方針を発表し、市議会事務局は切り抜き動画の削除を運営会社に要請している。(山本考志、藤谷茂樹)
■非効率な慣例なくし、住民参加促す媒体を
林紀行・日本大教授(地方自治)の話
議会改革の最大の目的は、住民の福祉の向上に寄与することだ。行政の問題点を明らかにする議員の質問の時間や機会を最大限確保するため、時代に合わない非効率的な慣例はどんどん変えていくほうがいい。
感染症の流行や災害といった危機的状況に対応するためには、行政の専決処分ではなく、議会の議決を経て決める必要がある。そうした事態に備え、議場や委員会室に集まれない議員がオンラインで出席できるようにすべきだ。
議会のデジタル化を通じ、子育て・介護に携わる人や障害がある人も議員になりやすい環境が整えば、多様な意見を行政に反映させ、問題や変化に対応できる強い組織づくりにつながる。
近年の議会改革ではインターネットでの動画中継など情報公開の仕組みが整ってきたが、今後は住民参加を促すことが求められる。住民の声が議会に届かなければ、政治への不信感は高まる。住民側が選挙で負託した議員の活動をチェックし、意見を伝えられる、双方向のチャンネルを持つことが大切だ。(聞き手 山本考志)