なり手不足で変わる地方議会、オンライン出席条例整備 切り抜き動画拡散で質問取り下げも
府議会の一般質問では議員一人の質問時間を15分、これに府幹部らの答弁や移動を加えた総枠をおおむね30分と定める。これまで質問時間は15分に達していなくても全体で30分を過ぎ、質問を途中で打ち切らざるを得ないケースもあった。
■「説教されているよう」
幹部席へのマイク設置は新たに数百万円の費用がかかるため、待機席の運用を試行。ただ実際に座った幹部からは「質問する議員との距離が近すぎて落ち着かない」「説教されているようだ」といった反応があり、今月16日に閉会した11月定例会では、質問議員と一定の距離を取りつつ、すぐに演壇に立てる知事席後方に変えた。
変更後に質問に立った大阪維新の会の府議は当初の待機席の位置について「議員の感情が高ぶると、高圧的に質問しているように見えて誤解を生む」とし、「十数秒でも長く質問時間を確保できるよう効果的な運用について検討を続ける必要がある」と話した。
■「サイト側判断」で動画削除
「開かれた議会」を目指す地方議会はインターネットでの中継・配信に力を入れている。全ての都道府県と政令市で導入されており、利便性のよさなどから動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用する事例が増えたが、課題も見え始めている。
大阪府議会は現在、本会議や委員会などの動画をホームページ上で配信している。来年8月以降は画質向上などのためユーチューブに切り替えるが、事前の会派間の議論では「サイト側の判断で削除される場合がある」と指摘されていた。
実際、昨年10月には三重県議会がユーチューブに公開した一般質問の動画が削除された。運営会社から「医療情報に関するポリシーに違反している」との通知があり、一部の質問に新型コロナウイルスワクチンの有効性に疑問を呈する内容が含まれていたためとみられる。県議会事務局は、削除された動画を県のホームページで配信した。
■石丸氏と対立の議員に批判集中
映像が編集され、トラブルにつながるケースもある。広島県安芸高田市では、当時市長だった石丸伸二氏と市議会の対立が注目を集め、ユーチューブ上の議会中継映像を第三者が複製・編集した「切り抜き動画」が拡散した。動画の再生回数は多いもので数百万回に上り、コメント欄では石丸氏と対立する市議らに批判が集中。誹謗(ひぼう)中傷を受けた市議が身の安全を考え、一般質問を取り下げる事態に追い込まれた。