限定77台! 現代版ポルシェ「935」は2億円は下らない…が、オークションで落札されない理由とは? サーキットスペシャルが足かせ!?
往年のマシンを現代にオマージュし復活へ
この新型「935」の生産台数は77台に限定されているが、今回RMサザビーズのモントレー・オークションに出品されたのは、その中で「70」のシリアルナンバーを持つもの。ホワイトをベースにブルーのラインと赤いピンストライプが入るカラーリングは、1980年のル・マン24時間レースにプライベーターとして参戦したディック・バーブール・レーシングが採用していた「ヘリテージ・ザックス」。 車体のほかには予備のレカロ製シート、BBS製のホイール、ブレンボ製ブレーキ、フロントスプリッターキット、限定生産のポルシェ製チタン製腕時計など多数のアクセサリーが含まれ、それだけでも総額は4万4000ドル(邦貨換算約644万円)を超える。 現代に復活した935のベースとなっているのは、最新の「911GT2RS」だ。リアに搭載されるエンジンは、700psの最高出力を発揮する3.8Lの水平対向6気筒ツインターボ。これに7速のPDKを組み合わせる。最高速は335km/hと発表されているが、これはあくまでもポルシェによる推定値。 100Lの容量を持つレース用燃料タンク、センターロック式のホイール、カーボンセラミックブレーキ、軽量バッテリー、アルミペダル、トルクベクタリングシステム等々を装備している点も注目に値する。参考までにこの新型935の全長は4.87m。そのボディワークは驚きとともにドラマチックな印象さえ与えてくれる。 多くのポルシェ・ファン、そしてスーパースポーツのファンが見守る中で始まったオークションは、やはり160万ドル~180万ドル(邦貨換算約2億3400万円~2億6327万円)というエスティメート(予想落札価格)の影響もあったのだろう。残念ながらそれに対する応札はないまま流札となってしまった。サーキット走行専用モデルであるというところも、入札者の心理に大きな影響を及ぼしたのかもしれない。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)