都が「環境債」導入目指して売り出した“サポーター債” 即日完売
環境対策に必要な資金を調達するための環境債「グリーンボンド」の発行高が世界的に増加している。日本でも環境省が普及に力を入れる中、東京都は24日、グリーンボンド発行に向けたトライアル施策として「東京環境サポーター債」を売り出し、その日のうちに完売した。都は、同サポーター債で約100億円を調達し、都が保有する施設のエネルギー使用の合理化を図るなど各種環境事業に充てる方針だ。 【動画】小池都知事が定例会見 五輪会場見直しや盛り土問題処分は?
莫大な温暖化対策費用をまかなう目的
地球温暖化対策の推進には、莫大な費用がかかると見られている。国際エネルギー機関(IEA)がまとめた見通しでは、地球温暖化対策「パリ協定」の「平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑える」との目標を達成するためには、2040年までに世界の再生可能エネルギーの技術開発やエネルギー効率の向上に合計約75兆ドルが必要としている。 環境省は、こうした温暖化対策費用を公的にまかなうのは困難であり、投資家による民間資本の呼び込みが不可欠だと考え、再生可能エネルギーファンドなど環境分野への投資(グリーン投資)の促進に取り組んできた。 そんな中で目をつけたのが、世界的に発行額が増えているグリーンボンドだ。 グリーンボンドとは、企業や行政が、再生可能エネルギー事業など環境対策事業の実行に必要な資金を調達するために発行する債券のこと。発行額は、2014年には前年の115億米ドルから370億米ドルへと急増し、2015年も418億米ドルと上昇傾向。フランス政府や米マサチューセッツ州といった政府や自治体だけではなく、米アップルなどの民間企業も発行している。 同省は、10月には「グリーンボンドに関する検討会」を開催するなど、普及に向けて力を入れ始めている。
今回の結果を踏まえ「グリーンボンド」導入へ
都は、このグリーンボンドの発行を目指し、まずはトライアル施策として、東京環境サポーター債を24日から売り出し、即日完売した。 同サポーター債は、豪ドル建ての債券で、発行額は日本円で100億円相当。利率は年2.74%、償還期間は5年で、最低購入額は1000豪ドル(約8万4000円)。調達した資金は、太陽光発電の設置などを含む都有施設の改築や改善に35億円、公園の整備に20億円、河川の整備に40億円、高潮防御施設の整備に5億円が充てられる。