<センバツ2022・ともに咲く>広島商・支える人 OBの大学生・中野太雅さん 練習手伝い、思い託す /広島
◇OBの大学生・中野太雅(たいが)さん(19) 大学で硬式野球部に所属し、部活や授業がない時間を見つけては中区の母校のグラウンドを訪れ、ノックを打ったり、グラウンド整備をしたりして練習を手伝う。「選手としても、人としても強くなっていく姿を間近で見られるのはうれしい」と、後輩たちの日々の成長に喜びを感じる。 広島商野球部時代はマネジャーとして、主に投手陣の練習や体調の管理役を担った。2021年春に卒業したが「たくさんの学びをくれた野球部へ恩返しがしたい」と通い続けている。荒谷忠勝監督ら指導者に怒られた選手がいれば練習の合間に2人きりで話し、指導者の意図が伝わっているか確認したり、アドバイスを送ったりしながら後輩たちの面倒を見る。 野球の指導者を目指し、大学では教職課程を履修。グラウンドでの荒谷監督に接し、指導法や生徒たちとの向き合い方を間近で見ることは、現場で学ぶ格好の機会にもなっている。「どんな形でも良いので、広商に戻って来る」のが目標だ。 新型コロナ禍でもセンバツが開催されることになり、ほっとした。3年生だった2020年夏は感染拡大で広島大会が中止となり、代替大会となった。チームはこの大会で優勝したが、目標だった「全国制覇」へチャレンジすることはかなわないまま引退した。 今冬も感染予防のため部活動が制限される状況の中、懸命に練習する選手たちの姿は当時の3年生の姿と重なる。「自分たちが叶えられなかった分も、甲子園で果たしてほしいとやっぱり期待してしまう」と後輩たちを見つめ、思いを託した。【池田一生】