解熱剤、咳止め、下痢止め…薬の服用には注意を 安易な自己判断が危険につながるケースも 医師が語る
ようやく秋の兆しが見えてきました。日中と朝晩の温度差が激しくなり、体調を崩しやすい季節になってきました。そこで、巷(ちまた)で行われていることについて、私が感じた注意事項をお伝えしたいと思います。 【画像】多い?少ない?「災害医療に関わりたくない」という医師の驚くべき割合 まず、風邪などをひいたとき、すぐに解熱剤を飲むことは、あまりお勧めしません。高熱で非常に辛い状態、子供さんで熱性けいれん起こしやすいケースなどは別ですが、体温を下げるという事は免疫能力を下げることに繋がるからです。 特に高齢者や免疫能力の低下している人は、解熱剤だけで様子をみることは致命的になることがあるのです。インフルエンザ、肺炎などでも高齢者、免疫不全の方、乳幼児は重症化しやすので注意が必要です。 また、咳止めだけを飲むことも上記の人たちは危険を伴うことがあります。肺炎などに罹患している場合には、咳をすることにより、排痰を促し、肺炎から回復させていることもあるのです。動けない方は別ですが、ある程度元気が出てくれば積極的に身体を動かすことが排痰をスムースにします。 寒い季節になってくるとノロウィルスによる腸炎が流行することもあります。下痢は非常に辛く、電車、バスにどうしても乗車しないといけないときなどは下痢止めを大量に飲む方がおられます。 大量に服用することは、非常に危険とも言える行為です。下痢を止めることは、身体の中に下痢の原因となるウィルス、細菌、毒素などをためることになります。ノロウィルスによる症状が遷延したり、高齢者、免疫不全の方、乳幼児は重症化の恐れもあります。消化のいい食事、経口補水液を少量ずつ飲みながら、適切な治療をすることが大切です。 ノロウィルスではありませんが、病原性大腸菌(O157)に罹患しているときに時々、お亡くなりになられる方がおられますが、調べてみると下痢止めを長期に服用している人が多いです。 OTC(医師の処方箋がなく購入できる医薬品)が増え、色々な薬が容易に手にはいるようになりましたが、安易な自己判断が致命的になることもありますので要注意です。 ◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。
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