<高校サッカー>大会ナンバーワンストライカー 亡き恩師に誓う白星
<高校サッカー準決勝> 星稜(石川) vs 京都橘(京都) 14:20キックオフ 国立競技場 全国高校サッカー選手権大会は舞台を国立競技場に移してベスト4が激突する。注目は、ACミランの本田圭佑を輩出した星稜と対戦する京都橘のエースストライカー小屋松知哉だ。昨年はチームメイトだった仙頭啓矢(現・東洋大)と共に得点王の座を分け合ったが、チームは決勝で涙を飲んだ。名古屋グランパスへの入団が内定している小屋松は、最終学年を迎えた今年、チームキャプテンとしてより逞しさを増したストライカーへと進化を遂げている。 ■俊足だけでなく頭脳派のストライカー 小屋松の最大の特徴は50m5秒8の俊足。相手DFの背後へ飛び出す単純な速さだけでなく、1対1の駆け引きにも優れている。フィジカルにプラスして頭脳をも備えた貴重なタイプのストライカーである。だが、相手ディフェンスにも警戒され、2枚、3枚のマークがつけられることも日常化してきた。持ち前の速さで壁を破り続けていたが、次第にプレーに変化が生まれていく。 「自分が警戒されている分、マークが手薄になった周囲を使えば良い」という発想に加え、主将という責務から「よりチームの事を考えるようになった」と、おとりになる動きやパスの質が格段に向上した。米澤一成監督も「周りを上手く使う意識が高まった。今年は皆で点を獲る事がプランになっていて、チームの中で生きて、なおかつ、自らも得点を奪う意識がこの一年で伸びた」と、認める程だ。彼の成長により、チームも変貌を遂げた。2トップだけでなく、中盤を含めた前線の4人が自在に攻め込む。より強力な攻撃力を持ったチームは、5試合15得点という圧倒的な結果で京都府予選を勝ち抜いてきた。 ■汚名返上のエゴは捨てている 小屋松の進化を象徴するシーンが、3回戦の那覇西戦にあった。前半30分。高い位置でボールを奪うとドリブルで独走。ペナルティエリアに侵入する直前で、2人のDFに寄せらると、その瞬間、フリーになって走り込んできたMF中山俊輝へのパスを選択した。中山の蹴り抜いたゴールが、貴重な先制点となった。 「これまでならば前日の失敗を取り戻そうと強引に一人でシュートまで持ち込んでいたと思う」と指揮官が振り返った。実は、初戦の藤枝東戦では、2本しかショートを打てず、PKも外し天を仰いだ。汚名返上のエゴは捨て、状況を冷静に見極めアシストを選択した。