オバマ大統領が涙の演説 規制へ立ちはだかる「銃社会アメリカ」の壁
プライベート・セラーの取り締まりは前途多難
アメリカでは銃砲店以外の場所でも、銃の売買が堂々と行われる場所が少なくありません。プライベート・セラーと呼ばれる、銃販売の個人業者が数多く存在し、ほとんどの州では事実上“合法的”に銃の売買が行われているのです。建前上とはいえ、「銃の販売で生計を立てていない」と位置付けられるプライベート・セラーは、主にガンショー(ホテルや会議場などを使って行われる銃の展示販売会)やネット販売で銃の取引を行っています。看板を掲げて銃の販売を行う既存の銃砲店とは異なり、連邦政府から営業許可書を付与されなくても銃の販売が可能なのです。 「所有者や愛好家が不要な銃を処分する代わりに、第三者に転売して僅かながらのお金を得るのは、営利目的のビジネスではない」という建前論 が存在するため、これまでは連邦政府も個人間取引対策に本腰を入れることはありませんでした。参加者数も数百人から数千人と大きな幅がありますが、年間で最大5000近くのガンショーが全米で開かれているとみられています。 ワシントンのシンクタンク「センター・フォー・アメリカン・プログレス」は2013年に発表した銃規制に関する政策提案書の中で、全米で1年間に取り引きされる銃の約4割(600万丁)がプライベート・セラー経由のものであると指摘。前述のプライベート・セラーによる銃の販売には、希少価値の高い銃を愛好家同士で売り買いするという一面が存在します。 しかし、それだけが売買目的ではないことも明白です。連邦政府からライセンスを与えられた店で銃を購入する場合、過去の犯罪歴などを含む身元調査の実施が義務付けられていますが、個人間取引にはそういった義務が事実上存在しません。そのため、前科者のように匿名性を保ちたい購入者の利用が後を絶ちません。 ライセンスを持った業者から銃を購入する場合でも、犯罪者が頻繁に「ストロー・パーチェス」という手段を用いることが問題となっています。ストロー・パーチェスとは、まるでワラの中に隠れるように、正体を隠したまま銃などを購入する方法で、犯罪歴のない第三者に銃の購入をさせることを意味します。