ひろゆき、中野信子と脳を科学する③ 人は外見で判断されている! その理由を脳科学で分析【この件について】
中野 例えば、ダレノガレ明美さんの顔は日本人の多くの人が美しいと認めると思います。一方で、ダレノガレさんよりもっと西洋寄りになると、キレイな人でも日本人的には好みが分かれますよね。それは日本人にとっての親近性の範囲から少し外れているので、一般的な人気につながりにくい可能性があるんです。 ひろ だから外国人のタレントさんよりも、日系のタレントさんのほうが人気になりやすいんだ。 中野 あと、美人やイケメンの基準が一定周期で変わる理由について、私なりの仮説があります。それは、基準がずっと一定だと、それに適応しようとする人々によって、ハック(攻略)されてしまうためです。そのハックを避けるために、美の基準が自然と変化していくんじゃないかと考えています。 ひろ 男性の場合、多様な女性の好みがあるのは理解できるんですよ。遺伝子を広く拡散したいという本能があるからです。でも女性の場合は、基準を変化させる利点はないように思えるんですけど。 中野 そうとも限りません。確かに子育ての観点からすると、基準が固定しているほうが有利かもしれません。でも、遺伝的多様性を考えると女性もさまざまなタイプの男性と子供をもうけたほうが有利なんです。 ひろ そこに子育てはあまり考慮されないんですか? 中野 子育ては環境要因が大きいんです。もし、女性がひとりで子育てできるような社会インフラが整っていれば、実は乱婚のほうが生物学的には有利です。 ひろ つまり、私たちがイケメンや美女に飽きるのもそういった理由からなんですね。 中野 みんなが同じタイプを好きになると、多様性がないと感じて新しい特徴を持つタイプを好きになるんです。車でたとえると、みんなが「ポルシェが好き」と言い始めると、「私はロールス・ロイスがいい」と言うような感じですかね。 ひろ モテや採用、その人が犯罪しそうかまで、人は外見に左右されすぎるんだ。面白いですね。 *** ■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など ■中野信子(Nobuko NAKANO) 1975年生まれ。東京都出身。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学大学院博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに勤務後、帰国。主な著書に『人は、なぜ他人を許せないのか』(アスコム)など 構成/加藤純平(ミドルマン) 撮影/村上庄吾