ひろゆき、中野信子と脳を科学する③ 人は外見で判断されている! その理由を脳科学で分析【この件について】
ひろ 人の外見に関する研究はたくさんあると思いますが、僕的には、その時代や文化で標準的とされる顔が美人やイケメンとされる傾向があると思うんですよ。 中野 確かに平均顔が魅力的だとされる根拠のひとつに「見慣れている顔」という要素があります。親近性の高さが魅力につながるという理論です。ただ、親近性が高い顔が必ずしも100%完璧で魅力的な顔とは限らないんです。 ひろ そうなんですか? 中野 私たちには「飽き」という感覚があって、ずっと同じ顔を見ていると、新しさを求めるようになるんです。例えば、40年くらい前のイケメンの顔は、今とはかなり違いましたよね。もっと西洋的な顔立ちが好まれていました。 ひろ 例えば草刈正雄さんとか? 中野 はい。彫りの深い顔立ちの人がイケメンとされていました。 ひろ でも、今、人気のイケメン俳優の基準は違いますよね。 中野 そうなんです。今は韓国アイドルのような顔が好まれています。この変遷こそが私たちの美の基準が常に進化し、適応していることを示しています。社会や文化の変化、そして私たちの視覚的な飽きが、新しい美の基準を生み出しているんです。 ひろ へー、面白い。 中野 漫画家で江戸風俗研究家の故・杉浦日向子さんの分析によると、江戸時代の美人の基準は時代とともに大きく変化していったそうです。江戸時代初期には小顔でスラッとした美女が好まれていました。しかし、時代が進むにつれてその基準がどんどん変わり、江戸末期になると5、6頭身くらいの今の基準では必ずしもバランスがいいとはいえない体形の人が好まれるようになったんです。 ひろ そんなに変わるんだ。 中野 面白いのは、この美の基準の変遷がたった40年、1世代か2世代くらいの間で起きているということです。そして、それまでいいとされていた基準から少し外れた人、いわゆる〝外れ値〟の人が「カッコいい」「いい顔だ」と評価されるようになる。これは単純に「平均顔がモテる」という理論だけでは説明しきれない現象だと思います。 ひろ 「美人は三日で飽きる」とかいわれますが、あながち間違いではないんですね(笑)。日本人はトリンドル玲奈さんとかローラさんとか外国系の顔立ちを好む傾向があるじゃないですか。この現象も新規性が影響してそうですね。 中野 そうですね。私たちには「新規性」を求める部分と「親近性」を求める部分があるんです。このふたつのパラメーターのバランスが、その時代の「最も魅力的な顔」を決定していると考えられます。 ひろ ほうほう。