【親子死亡ひき逃げ】裁判が始まった一方…事件で浮き彫りとなった“危険なごみ置き場”の現状は(静岡・沼津市)
2024年1月、静岡・沼津市で自治会の「ごみ出し当番」だった親子がひき逃げされ死亡する事件がありました。この地域一帯の「ごみ置き場」は道路に面した“危険な場所”に多くあり、移転が進められてきました。現状を取材しました。 2024年1月。沼津市松長で、当時59歳の母親と33歳の息子がひき逃げされ亡くなりました。事件から2日後、発生時間と“同じ時間帯”に行われた聞き込み捜査。 (三間 将一 カメラマン) 「現在、5時40分です。辺りはまだ暗いです」 当時、2人はまだ“暗い中”、自治会の班の「ごみ当番」で、カラス除けのネットを路上に設置していました。その最中、トラックが2人をはねたのです。 トラックを運転していたのは、沼津市に住む販売業で86歳の被告の男。荷台には保冷庫が設置されていて、また、左側のパネルが開く構造のものでした。被告の男は、そのパネルをチェーンで固定するのを忘れ、開いた状態で運転したため、パネルを親子2人に衝突させ死亡させたとされています。 5日、地裁沼津支部で行われた初公判で、被告の男は、「自分じゃぶつかってないと思うんだけど」などと述べ、起訴内容を否認しました。 痛ましい事件により、浮き彫りとなった“危険なごみ置き場”…。 (坂井 太一 記者) 「現場となった道路は片側一車線で、決して広くはありません。こちらがごみ置き場なんですが、道路のすぐ脇を歩いてこなければなりません」 当時、地域の住民からも「ガードレールがなく交通量が多い道路で危ない」と改善が求められていました…。 沼津市内にある「ごみ置き場」は約3500か所…。市も、事件後すぐに「ごみ置き場」の場所を見直すため現状を調査。事件が起きた道路沿いの地域は道幅が狭く、ごみ収集車が入れない場所も多くあり、17か所が“危険”と判断されました。 事件から8か月、改善は進んでいるのでしょうか? (坂井 太一 記者) 「当時のごみ置き場はあちら、道路沿いにありましたが、今は少し離れたこちらです。5月に移転が完了しました。この先、行き止まりで、車が行き交う中 ごみ出しをする心配はなさそうです」 この場所は会社の敷地内ですが、土地の持ち主、そして会社側の理解と協力があり移転されたということです。 (付近住民の男性) 「道路からも離れてかなり安心感もあるし、ごみネットを設置する手間もなくなったので」「同じような事故が、これに変わったことによって起きる確率がかなり減ったと思う」 また別の所でも…。この女性は、“敷地を提供”したといいます。 (付近住民の女性) 「できれば内側に入れた方が安全だということで、役所の方から意向があったので」「収集はしづらいかもしれませんが、ごみを持ってくる方は安全」 道路のすぐ横にあったこのごみ置き場も…。交通量が少ない場所に移転されました。しかし、17か所全ての“危険なごみ置き場”が移転されているわけではありません。現在、移転が完了している場所は6か所。市は、それぞれの自治会の会合に参加するなどして候補地を提案してきたといいます。 (沼津市クリーンセンター収集課 森 剛彦 課長) 「自分の敷地の所、近隣に、家の前にとなると、なかなか人情的に難しいのは理解できる」「安全を確保したいという観点で 設置者である自治会のみなさまと協議しながら、一緒になって進めていきたいと 考えています」 市は、今後も住民らと話し合いを続け、残る11か所についても移転を進めていくということです。