岩屋外相、中国の李強首相と会談…来年中に首脳らの相互往来実現へ努力で一致か
【北京=上村健太、東慶一郎】岩屋外相は25日午前、北京の人民大会堂で、中国の李強(リーチャン)首相と約40分間、会談した。両氏は、日中間の幅広い分野で意思疎通を活発化させ、来年中に首脳や外相らの相互往来を実現するために努力する方針で一致したとみられる。
日本の外相の訪中は2023年4月の林芳正外相(当時)以来で、1年8か月ぶりとなる。岩屋氏は会談の冒頭、「日中双方は地域と世界にとって重要な責任を共有している。それをしっかりと果たしていける日中関係を築いていくために、努力したい」と述べ、日中双方の国益を追求する「戦略的互恵関係」を推進していく考えを強調した。李氏は「両国間の交流と協力を強化し、両国関係の持続的かつ健全な発展を推し進めていく」と語った。
中国では、今年9月に日本人学校の男子児童が刺殺された事件が起きたほか、邦人の拘束も相次いでいることを踏まえ、岩屋氏は在留邦人の安全確保を徹底するよう要請した模様だ。
李氏は、経済分野での協力を呼びかけたとみられる。国内経済が低迷する中、日本からの投資を呼び込む狙いがある。習近平(シージンピン)政権は、関税の引き上げなど対中強硬姿勢を示すトランプ次期米政権が来年1月に発足するのを前に、周辺国との関係の安定化を急いでいる。
岩屋氏は李氏との会談後、王毅(ワンイー)外相(共産党政治局員)とも会談し、観光客の往来やスポーツ、青少年交流推進を議論する「日中ハイレベル人的・文化交流対話」に出席する。阿部文部科学相も同対話に出席する。