人間の都合で生み出される“ミックス犬”に賛否の声…安易な交配はリスク大?「全身ハイブランドのワンちゃん」に違和感も
■ミックス犬のメリット・デメリット
ミックス犬に対して多様な意見があるなかで、藤本氏は遺伝的多様性の重要さを語る。有名血統の純血種だとしても、健康面に問題がある種もあり、純血種が現代にそぐわなくなっている面もあるとの立場を取る。 ミックス犬のように人工的に交配させた犬が「デザイナードック」と呼ばれることがあるが、「純血種もデザイナードッグだ」と指摘する。「純血種も管理されてきた。どんな子が生まれるかが、事前にわかるのはデメリットだ。人間は子どもを作る時、どんな子になるかわからないが、純血種ではわかる」。
一方で、阪根氏はミックス犬の「健康リスク」の高さを懸念している。父母両方の遺伝的疾患を引き継ぐおそれや、大型犬と小型犬の交雑では骨格異常などの可能性もある。また、望んだ外見的特徴が出ず、体の片側だけ長毛、顎のサイズが上下で違う…といった個体もあるという。そして、利益優先の悪質なブリーダーの存在も問題に。 利益目的の交配で「安易にミックス犬を作っている人が多すぎる」と批判する。「責任を持つブリーダーは、リスクが高いミックス犬を作らない。犬種ごとに起こりやすい遺伝的疾患がわかっていて、管理せずに交配すると、両親双方の遺伝を引き継ぐ可能性がある」。 遺伝の一例として、ラブラドールレトリバーとプードルの血を引く「ラブラドゥードル」を紹介する。「盲導犬に使われるラブラドールと、毛が抜けにくいプードルを掛け合わせると、アレルギーのある人間にも対応できるのではと誕生したが、29の遺伝的疾患を引き継いでいる可能性があると言われている」と説明。 大型犬と小型犬については、「体格差があっても、交配そのものは人工でできる」が、子は骨格異常のリスクにさらされる。また交配によって、毛の長さが整わず「洋服を着せると一部が皮膚疾患になったり、体温が合わなかったりする」ケースや、顎の形状により「ご飯がこぼれたり、虫歯やかみ合わせの悪さが出てきたりする可能性がある」という。