iDeCoに興味がありましたが、受け取るときに税金がかかると聞きました。それでも節税になるってどういうことでしょうか?
老後資金を効率よく用意する手段として、iDeCoの利用を検討している人も多いでしょう。iDeCoで形成した試算を受け取るときには収入として税金がかかりますが、一方でさまざまな税制優遇を受けられるiDeCoの仕組みによって、大きな節税メリットも享受できます。 本記事では、iDeCoの税制優遇の内容や、給付金の受取時に税金がどのように課税されるのかについてまとめました。
iDeCoで受けられる税制優遇は3つ
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、拠出した掛金を自分で決めた方法で運用して、老後に向けて資産を形成する私的年金制度です。65歳になるまで掛金を拠出でき、60歳以降に年金や一時金のかたちで老齢給付金を受け取れます。 iDeCoの大きなメリットは、次の3つの税制優遇を受けられる点です。 ●掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象 ●運用益が非課税 ●受取金に対する控除がある 1つずつ紹介します。 ■掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象 iDeCoで拠出した掛金は、全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除できます。そのため、iDeCoの運用で利益を得られるだけでなく、毎年の所得税・住民税の節税効果も得られるのです。 例えば、年収500万円の人が30歳から65歳まで毎月2万円をiDeCoに拠出すると、年間4万8000円(所得税2万4000円、住民税2万4000円)、トータル168万円の節税となります(iDeCo公式サイト「簡単税制優遇シミュレーション」による試算)。 ■運用益が非課税 一般的な金融商品の運用では、運用益に20.315%(源泉分離課税時)の税金が課されます。iDeCoで金融商品を運用すると運用益が非課税となり、目減りすることなく再投資されるため、大きな複利効果が望めます。 例えば、10万円の運用益が出た場合、一般的には20.315%を差し引いた7万9685円が再投資され、元本に上乗せされます。iDeCoで運用する場合は10万円が丸ごと再投資され、元本がより大きくなるのです。 ■受取金に対する控除がある 60歳以上になりiDeCoの給付金を受け取るときには、次の方法から受け取り方を選択できます(金融機関による)。 ●一時金として一括で受給する ●5~20年の有期年金(金融機関によっては終身年金)として受給する ●一部を一時金、残りを年金として受給する 一時金として受け取る場合、給付金は退職所得に分類され「退職所得控除」が適用されます。年金として受け取る場合は雑所得となり、公的年金と同じように「公的年金等控除」の対象となります。 これらの控除を受けられることで、iDeCoの給付金は働いて得た所得や民間の保険会社の個人年金保険などと比べて税金の計算上有利となるのです。