【厚生年金】平均月額は額面「月14万3973円」、手取りはどれくらい?
年金月額14万4000円の手取り額をシミュレーション
では、実際に厚生年金の受給額が月額14万4000円の場合、手取りはどのくらいになるのか、具体例を用いてシミュレーションしてみましょう。 ●【シミュレーション条件】 ・66歳(1958年生まれ) ・居住地:東京都新宿区 ・厚生年金受給額:月額14万4000円(年額 172万8000円) ・年金以外の収入なし ・住民税の所得割は課税所得の10%とする 【介護保険料】 新宿区では、65歳以上の介護保険料は所得などの状況により18段階に分かれているため、まずは年金所得を求める必要があります。 年金所得は以下の計算式で求めます。 年金所得=その年に受ける年金額-公的年金等控除額 上図より、受け取る年金額が330万円以下の場合、公的年金等控除額は110万円です。 したがって、今回のシミュレーションの年金年額172万8000円から110万円を差し引くと、年金所得は62万8000円となります。 新宿区の「65歳以上(第1号被保険者)の方の介護保険料(令和6年度~令和8年度)」の、「本人の合計所得金額が125万円未満」に該当するため、介護保険料は年額8万7120円(月額7260円)になります。 【国民健康保険料】 下図の新宿区「令和6年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」より、年金収入が年額172万8000円の場合、国民健康保険料は月額7573円なので、年額では9万876円です。 【所得税および復興特別所得税】 年金は、10種類ある所得のうち「雑所得」に該当し、所得税の課税対象となります。 所得税額を求めるには、雑所得から基礎控除や社会保険料控除等を差し引いた金額に、5.105%の税率をかけて計算します。 所得税=年金所得62万8000円-(基礎控除48万円+社会保険料控除17万7996円(※))×5.105%=0 ※介護保険料8万7120円+国民健康保険料9万876円 基礎控除と社会保険料控除の合計額が65万7996円となり、年金所得よりも多くなるため、所得税はかからないことになります。 【住民税】 住民税は、所得に応じて負担する「所得割」と、誰でも等しく負担する「均等割」の2つで成り立っています。 〇所得割 住民税における基礎控除は43万円で、社会保険料控除は17万7996円です。また、シミュレーション条件にあるように、課税所得の10%として計算します。 所得割=年金所得62万8000円-(基礎控除43万円+社会保険料控除17万7996円)×10%=2000円 したがって、住民税の所得割は年額2000円です。 〇均等割 均等割りは一律5000円の負担です。 所得割2000円と均等割5000円を合計すると、住民税は年額7000円となります。 ●【シミュレーション結果表】 ここまでのシミュレーション結果をまとめてみましょう。 厚生年金月額14万4000円の場合、年金支給額は年額172万8000円です。そこから介護保険料が8万7120円、国民健康保険料が8万7120円、住民税が7000円差し引かれ、手取り額は年額154万3004円になります。 手取り額を月額に換算すると約12万8583円となり、額面金額より1割程少ない金額となります。 なお、この結果はあくまでもシミュレーションであり、実際には異なることにご注意ください。