兵庫県知事“パワハラ疑惑”騒動広がるも辞職を否定… 住民の手で「辞めさせる」方法は?
それでも住民の“はたらきかけ”には「絶大な威力」がある
地方公共団体の住民にとって、大きな問題を抱える首長が在職し続けることは、看過できないリスクである。しかし、リコール制度も、議会にはたらきかけての不信任決議案の可決も、実現には大きなハードルがある。 三葛弁護士は、それでもなお、リコール運動を行うことや議員にはたらきかけることは、事実上有効な手段となりうるという。 三葛弁護士:「特に、議員を通じたはたらきかけは重要です。市議会議員を務めた経験の肌感覚として、議会に首長の味方となる議員が4分の1より少ないというのは、相当に切羽詰まって厳しい状況です。 議員の過半数の賛成を得なければ予算が通りません。味方が少ないというのは、地方公共団体の運営が不安定になる要素の一つです。 議会による不信任の議決は、たとえていえば『伝家の宝刀』です。抜かなくても、その可能性が十分あるとちらつかせることは、重大な威力を発揮します。 また、リコールについては、住民は首長の解職請求だけでなく、議会の解散請求もできます(地方自治法76条、78条)。 首長も議員も、大多数の住民を敵に回したらリコールされる可能性があるのであり、常に緊張感があります」 住民自治の担い手は住民自身である。首長や議会の専横を許さないためには、日ごろから地方自治に関心を持つとともに、自身がどのような権限を持っていて、どのように行使できるのかを知っておくことが重要である。
弁護士JP編集部