兵庫県知事“パワハラ疑惑”騒動広がるも辞職を否定… 住民の手で「辞めさせる」方法は?
議員にはたらきかけて「不信任の議決」をさせる方法は?
リコールの制度の他に、県議会の議員にはたらきかけ、知事に対する「不信任の議決」をさせる方法が考えられる。 はたらきかけが功を奏し、県議会が不信任の議決が行われた場合、知事は「辞職」か「議会の解散」のどちらかの選択を迫られることになる。 この不信任の議決の要件も厳しい。総議員の3分の2以上が出席の上、出席議員の4分の3以上の賛成が要求されている(地方自治法第178条第3項)。つまり、「絶対にこの首長の味方をする」という議員が4分の1より1人でも多ければ、不信任案は通らない。 兵庫県議会の場合、議員の定数は86人なので、65人以上の賛成が必要となる。ちなみに2024年7月25日現在、会派別の議員数は自由民主党36人、維新の会21人、公明党13人、ひょうご県民連合9人、日本共産党2人、無所属5人となっている(人数が多い順)。 三葛弁護士:「実際には中間派もいるので、せめぎ合いになります。 不信任の議決に厳しい要件が設けられているのは、ここでも、議会の多数派が気に入らない首長を簡単に辞めさせられないようにするためです。 二元代表制の下、住民の直接選挙により選ばれた首長を、議会の多数派が簡単に辞めさせることができるようになってしまうのは、混乱を招きかねません。」 しかし、その厳しい要件をクリアして不信任の議決が行われた場合、事実上、「辞職」を選ばざるを得ないと考えられる。なぜなら、住民も議会も敵に回した状況では、議会を解散しても再度議員の選挙が行われ、反対派が多数を占めることが想定されるからである。 ただし、三葛弁護士は、議員の立場としては不信任の議決を避けたいという思惑がはたらくという。 三葛弁護士:「もしも首長が議会を解散すれば、次の選挙で自分が落選するリスクが生じます。 落選しなかったとしても、選挙はお金がかかります。議員自身も支援者も大変な思いをします。実のところ、選挙が4年に1回ということを前提に人生設計をしている議員も少なくないのです」 地方議会において「問責決議」や「辞職勧告決議」が行われるのは、そのような思惑によるものかもしれない。