夏春連覇狙う「弟ズ」 仙台育英は投手王国健在 センバツ出場校紹介
昨夏の甲子園で東北勢初の優勝を果たした仙台育英(宮城)は、2年ぶり15回目の出場で史上5校目の甲子園夏春連覇を狙う。
東北大会4試合で5失点の堅守
昨夏の全国選手権で東北勢として初優勝を果たしたメンバーのうち7人が残る。新チームとして全国で最も遅いスタートを切った昨秋は甲子園経験メンバーがけん引。「守り勝つ野球」で県大会全試合を3失点以内に抑えたが、決勝で東北に惜敗した。 東北地区大会では強豪の青森山田(青森)、能代松陽(秋田)と対戦、いずれも1点差の接戦を制し、県勢対決となった決勝で東北を破り雪辱を果たした。4試合でわずか5失点。須江航監督は「春は負けない野球ができるかどうか。どの時代も敗因は自滅」と堅守に自信をのぞかせる。 投手陣は右腕のエース、高橋煌稀(2年)が勝負どころを抑える。145キロを超す速球と変化球を高い制球力で使い分け、須江監督も「安定感が頭一つ抜けている」と評価する。東北地区大会の準々決勝で無四死球完封勝ちした湯田統真(同)、緩急で三振を取る左腕の仁田陽翔(同)と選手層は厚く、「投手王国」は健在だ。
新メンバーも躍進
攻撃は走塁を磨き、下位打線からも得点を狙う。東北地区大会では、リードオフマンの橋本航河(同)が機動力を生かし、チーム最多の3盗塁を決めた。主軸の斎藤陽(同)は長打力を発揮し、6安打3打点。小学6年時に競泳のジュニアオリンピックで全国2位に輝くなど身体能力が高く、小柄ながらミート力が高い。冬場はウエートトレーニングで打球速度を向上し、「つなぐ4番は前の自分」と長打力にも自信をつけた。
昨秋の公式戦では、夏の甲子園でベンチ外だった斎藤敏哉(同)や湯浅桜翼(1年)ら新メンバーの躍進も光った。「日本一のチーム内競争」を目標に掲げ、センバツに向けて更なるレベルアップを図る。 姉や兄を持ち、引っ込み思案な選手が多いことから「弟ズ」と須江監督が名付けた新チーム。須江監督が「総合力では(出場校で)トップ4に入らない。チャレンジャーです」と言えば、「2度目の初優勝を目指す」と声をそろえる選手たち。夏の王者に慢心はない。ゼロから紫紺の優勝旗をつかみにいく。