鳥取砂丘を「月面」に変えた高校教員のプロデュース力がすごい!
「鳥取×宇宙コンソーシアム結成」地方で“宇宙”って何するの?
視察ツアーからほどなく、「ひとまず鳥取県が宇宙というテーマや最新技術で何ができるかみんなで考えてみましょう」というカジュアルなコンソーシアム(企業連合体)ができました。空港の会議室で県職員のいくつかの部署の方やマルシェ運営者、宇宙ベンチャー、学校代表として私など10名前後での会議を何度か繰り返して情報交換をしました。 宇宙ベンチャーの田中さんが来られた時には共同でイベントなども行い、鳥取空港で山陰三ツ星マーケットという地域マルシェのXmas イベントが行われた際には、私のクラスや部活動の学生も2日間で10名近くがお手伝いに加わって宇宙VR 体験会を実施しました。これが2019年の12月末のこと。この約2週間後に、コロナ禍がやってきます。 コロナの影響でこのムーヴメントも一瞬停滞しますが、幸い鳥取県は人口や人流が少ないこともあってか、全国に比べて流行やそれに伴う規制もまた緩やかでした。全国的な流行の合間を縫って、宇宙ベンチャーの田中さんらが鳥取に来られるたびに、私が紹介できる限りの地域のプレイヤー(活動的な方)や宇宙に関心の強い方を地道に紹介し続けました。 ある時、度々訪れていた鳥取砂丘の西側(東側はみなさんがご存知の観光エリアです)の何もない広大な砂地を眺めながら田中さんが言いました。「なんだか鳥取砂丘って月面みたいですね」。宇宙、VR、鳥取砂丘、コロナ、月面、鳥取県内外の協力者たち。どこに向かっているかもわからずかき集めていた要素たちが突然一つにまとまります。 コロナ禍においても観光客が楽しめるようなコンテンツを生み出すという文脈で出てきた観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業として、宇宙ベンチャーの田中さんらが音頭を取りつつ鳥取の各事業者も連盟で提案した「鳥取砂丘で夜の月面AR体験」プロジェクト、通称「月面極地探査実験A」が採用され、とても大きな資金調達に成功したのです。地方でも最先端のことを体験できるのだ! 次回は、コロナ禍にもめげず、生徒たちも巻き込みながら、鳥取県に宇宙ムーブメントが広がっていく過程についてお話しできればと思います。 今月の教訓 ◎新しいものに生徒共々飛び込むべし! ◎ワクワクしたら迷わず動くべし! ◎出会いは熟成するものと心得よ! ◎ピンチの時こそチャンスを狙え! ◎“予想外”そのものを楽しむべし! 大山 力也 1990年横浜生まれで幼少期をブラジルで過ごす。早稲田大学教育学部出身。2017年に鳥取県に移住して私立高校教員を5年間経験。総合探究主任やアントレプレナー部顧問として活動しながら、2019年には日本財団地域コーディネーターを兼任。2022年に徳島に移住し、2023年より開校した神山まるごと高専の学生応援統括&社会科として勤務。 *『月刊教員養成セミナー2024年3月号』地方発 !教育 で「日本列島 改造計画」 学校内に留まらず、外の世界と生徒を繋げる活動を実践している著者。「最高にクリエイティブ」という教員の仕事を通じて、地方から日本列島を改造中です。その実践をご覧あれ!