生産能力10倍に増強…FDKが訴求、「ニッケル亜鉛電池」の利点
FDKは新事業を拡大する。新事業の一つであるニッケル亜鉛電池の生産能力を増強する検討を始めた。2025年1―3月に投資判断をし、需要が見込めれば26年度内にも生産能力を従来比10倍の月間30万個に引き上げる。高崎工場(群馬県高崎市)の生産ラインの改造などを通じて増産体制を整える。鉛蓄電池と比べて環境負荷が低いほか、電池の軽さといった利点を顧客に訴求し、置き換えや新たな需要を捉える。 【写真】FDKのニッケル亜鉛電池 長野良社長はニッケル亜鉛電池に関して「25年度に入る前に投資判断をする方針。需要との兼ね合いを見ながら行う」と話した。段階的に投資する。既存の生産ラインを改造したり、他の電池の製造で使う設備を活用したりし、投資額を数億円程度に抑える。 FDKのニッケル亜鉛電池は無人搬送車(AGV)の動力用電源のほか、データセンター(DC)のバックアップ(予備)用の電源などでの使用を想定。バックアップ用には従来、鉛蓄電池を用いる場合が多く、環境負荷の高さが課題だった。FDKは鉛蓄電池の代替としてニッケル亜鉛電池を訴求する。スモールスタートを念頭に、まずは国内の顧客に提案する。 また、同じく新事業に位置付ける全固体電池では「研究開発(R&D)に注力している」(長野社長)としながらも、従来品に対して「使ってみたいという顧客がいる」(同)とし、新たな需要の取り込みも想定する。 FDKは2029年の売り上げ目標である800億円のうち、新事業で30%を占めることを目指す。