一緒に行けば、道中も試合気分。ファン同士の相乗りマッチングアプリがスポーツ観戦の環境負荷を軽減
スポーツファンの中には、熱気と興奮を肌で感じ周りのファンと一体化できることから、スタジアムで観戦したいという人も多い。しかし、いざスタジアムへ向かおうとしても、会場までのアクセスによっては、公共交通機関を利用して現地まで行くのが難しい場合もある。そんなとき、たいてい移動の選択肢は車になるだろう。 ところが、イベント来場者の車の座席は、50%しか使われていないことをご存じだろうか(※1)。一方、会場でのスポーツ観戦のために車が多く使われるほど、交通量は増える。その移動は、イベントに関連するCO2排出量の60~85%を占める結果となり、環境負荷の要因となっているのだ。 この状況に注目したオランダの企業・Slingerは、問題の改善を図ろうと「ファン同士のシェアライド」プラットフォームを開発した。来場者がスポーツイベントや音楽フェスティバルへの乗りものを共有できるよう、同じイベントに向かう来場者をマッチングするアプリだ。
会場への来場者は、相互にメールで連絡を取り合い、燃料費の折半や最適なピックアップ場所を決めることができる。ダッシュボードには、出発の場所や時間、走行距離、二酸化炭素排出削減量など、すべての情報がリアルタイムで表示される仕組みだ。 シェアライドの利用料金はベーシック、スタンダード、プロの3種類で、利用者の予算に合わせて月額料金を設定でき、サブスクリプションの最低利用期間は3ヶ月となっている。メリットは、ファン同士で乗りものと目的地を共有するため、会場に着く前からイベントの一環として楽しめるということだ。車内で利用者の間につながりが生まれれば、そこからさらに連絡を取り合い、交流を続けることもできるのだ。 最近のスポーツ界では、スタジアム来場者にシャトルバスを提供するなど、環境に配慮した積極的な取り組みが見られるという(※2)。そうした主催者側の努力に加え、今後Slingerのようなユニークなアイデアが当たり前になれば、環境負荷の小さい選択肢を望むスポーツファンもより快適に移動できるようになるかもしれない。 イベントの始まりとして、同じチームのサポーターと車内で会話をして試合への気分を盛り上げるのはどうだろう。Slingerは、今までとは少し違ったスタジアムへの移動体験を提供してくれるはずだ。