【シンガポール】TOPPAN、半導体基板の生産拠点開設
TOPPANホールディングス(HD、旧凸版印刷)は14日、シンガポールに高密度半導体パッケージの基板「FC―BGA」を生産する拠点を開設すると発表した。人工知能(AI)などデジタル化が広がる中で半導体需要の拡大に対応する。投資額は明らかにしていない。 新工場の延べ床面積は9万5,000平方メートル。2026年末に稼働する予定だ。工場開設に合わせ、現地法人アドバンスト・サブストレート・テクノロジーズを設立。シンガポール経済開発庁(EDB)や主要取引先の米半導体大手ブロードコムから支援を受ける。 TOPPANは現在、新潟工場でFC―BGA基板の生産能力拡大を進めているが、パッケージ基板の大型化に伴う製造負荷が大きく、将来の需要増に対応するにはさらなる生産能力増強が必要となっている。また事業継続計画(BCP)の観点からも複数拠点での生産体制の整備が求められている。 シンガポールの新工場では、新潟工場で培った基板製造ノウハウや最先端の自動化ラインを導入し、世界最高水準の品質、歩留まり(良品率)の実現を目指す。FC―BGA事業について、全社で27年度までに生産能力を22年度対比で2.5倍以上に引き上げる。 TOPPANは両拠点での生産体制を確立することで、地政学的状況や自然災害に伴うリスクを分散し、BCPの向上、世界的な供給体制の構築を目指す。 社会の急速なデジタル化に伴い、データのトラフィック量(通信量)は年々増加しており、FC―BGA基板の需要も拡大している。 FC―BGA基板は、大規模集積回路(LSI)チップの高速化や多機能化に対応。パソコン(PC)やゲーム機向けのマイクロプロセッサーやサーバー、人工知能(AI)、ネットワーク機器向けのハイエンドプロセッサーなど、幅広い用途向けのLSIに使われる。