中田ジャパンがW杯で見せたジキルとハイド。東京五輪で戦えるのか?
――ブラジルには歯が立ちませんでした。 「ブラジルのディフェンスが完璧で苦しみました。特に日本のレフト側からの攻撃に対して、ブロックとレシーブの関係が完璧でクロスを抜いても、ブロックの間を抜いても、そこにレシーバーがいるという状況。バックアタックやライト側からの攻撃がもっと使える選択肢があれば違っていたのではないでしょうか」 ――今大会の収穫は石川なんでしょうね。 「石川選手は苦しい場面でもハイセットを打ちきってくれました。長内選手もよかったし、鍋谷選手も、空気を変えられる選手として存在感を示しました。五輪のメンバーの 12 人をどう選ぶかが悩ましいところです」 ーーチームの雰囲気はどうでしたか? 「ホスト国の日本は五輪出場権を持っているので選手のセレクションマッチという側面もあり、選手たちには相当なプレッシャーがあったと思います。そのため、ミスを恐れながらプレーしているように感じられる場面もありました。一方、アメリカやブラジルの公式練習を見学させてもらいましたが、“積極的なミスならOK”という雰囲気でした。だからこそ選手たちはミスを恐れず、より強く、より厳しいコースへとトライをすることができるのだと思います。バレーボールを本気で楽しむあの雰囲気は参考にしたいですね」 ――世界のバレーの流れは、どう見ましたか? 「中国が抜け出ています。それに格下と思われているチームが底上げされています。日本が初戦で勝ったドミニカ共和国は、試合を消化するほどディフェンスがよくなってきました。マルティネスも止まらなくなって、控えにゴンザレスという、いい選手もいました。まだ五輪の出場権は得ていませんが、怖いチームです。日本が敗れた韓国も要注意でしょう」 ――戦術的には何か気になる点がありましたか? 「今大会では、サウスポーのレフトという異色の選手たちの活躍が目立ちました。それが狙いなのか、たまたまなのかわかりませんが、研究しておく必要はあると思いました」 ――最後に五輪へ向けての現時点での総括をお願いします。 「五輪出場権を得ているメリットを活かしてもらいたいです。五輪予選という緊迫した戦いを続ける中でチームはまとまり成長はします。今回、そういう期間がないことは不安要素ですが、逆に故障者などを減らし、チームコンディションを高めて大会に入れるメリットがあります。まずリーグで、それぞれが個の能力を伸ばし、やるべきことをやればメダルも見えてくると思います」