中田ジャパンがW杯で見せたジキルとハイド。東京五輪で戦えるのか?
――サーブが機能した点も大きかったです。 「オランダ戦ではバイス選手を狙ってプレッシャーをかけ、リベロがカバーに回るようになって守備が乱れました。ターゲットを絞った戦術もそうですが、何が変わったかと言えばサーブの球質です。前半戦はコースを狙いすぎ、球質が少し弱いように感じましたが、後半戦はターゲットの胸元へ強く打つことを心掛けていました。奥へのサーブは勇気がいりますが、これが効果的でした。逆にサーブが機能しなかったブラジル戦では相手のミドルブロッカーにたくさん点を取られてストレート負けです。五輪へ向けてさらに強化すべき点ですね」 ――サーブの強化ですね。 「サーブはメンタルも大きく影響するプレーです。もしサーブがミスになってもその直後にサイドアウトが取れるというある程度の自信があれば、多少リスクを負ってでも攻めのサーブを打つことが出来ます。しかし今の日本は特にセッターがフォワードのローテのときに連続失点するケースが多く、サーバーが勇気を持って攻めることが難しくなります。不安なローテがなければ、強気にサーブで攻めることができます」 ――セッターがフォワードのローテのときの不安を解消するには 「Bパスからでもミドル、バックアタックを使える状況を作る必要があります。レフト、レフトになって攻撃が偏ると厳しいのです。今回は、石井選手が、そんな中でもスパイクを決め切ってくれたことや、固い守備でもチームに貢献してくれたのは大きな収穫ですが、攻撃に幅は作りたいですね」 ――黒後の復帰も後半戦のハイライトでした。 「宮下選手との 2 枚替えで、セルビア戦から復帰した黒後選手は、故障の影響でまだジャンプが万全ではありませんでしたが、冷静にやるべきことをやっていました普通は、アピールするために綺麗に決めたくなるものですが、ブロックアウトを取るなど冷静に勝負に徹していたことには感心させられました」 ――逆に古賀は最後まで手ごたえをつかめませんでした。 「心配なのは古賀選手です。後半戦は、ネットから離したトスをセッターに要求していたそうですが、大会を通じて助走に迷いが見えました。ミスを恐れるが故の迷いなのではないかと思いますが、その迷いを払しょくして、思い切ってコースを打ち分ける古賀選手らしいスパイクが見たいです」