北海道地震被災ファン200人と森保Jが心の交流。集合写真に込められた願い
夜が明けてしばらくしても停電と断水はまったく復旧せず、当然ながらインターネットにも接続できない。スマートフォンを使っての情報収集もはかどらず、何度も接続を試みているうちにバッテリーの残量が激減してくる。電話はもちろんのこと、無料通話アプリのラインもほとんどつながらない。 宿泊客同士の情報交換で、店を開けているコンビニエンスストアの存在を確認。急いで駆けつけたときにはミネラルウォーターは売り切れ、何とかウーロン茶とジュースを数本購入した。当然ながら食料品はほぼ売り切れている。そうしているうちにスマートフォンを介して、チリ戦へ向けた森保監督の公式会見と日本代表の公式練習が中止になった一報を得た。 となれば、取材へ向かう先は札幌ドームではなく、日本代表の宿泊ホテルとなる。しかし、市営地下鉄を含めて鉄道は全面的にストップ。利用できるインフラはタクシーしかない。待つこと約20分。何とか空車と遭遇でき、片道で4000円近くをかけて目的地へと向かった。 ただ、信号の大半が作動していない。警察官が出動している大きな交差点はともかく、無人のそれを通過するときにはどうしても緊張感を伴う。なかには作動している信号もあって不思議に感じたが、タクシーの運転手は「太陽光発電によって作動しているんです」と説明してくれた。 町中はさすがに閑散としていたが、オープンしているスーパーやコンビニエンスストアだけには人が群がっていた。ガソリンスタンドも然り。営業している店舗には決まって数十台の車が長蛇の列をなし、片側2車線のうちの左側をほぼふさいでいた。その箇所だけ必然的に車の流れが著しく滞る。 何とか代表チームの宿泊ホテルにたどり着くと、選手や森保監督以下の首脳陣がちょうど散歩へ出ていて、練習代わりとして近くの公園で軽く体を動かしていた。その間にチリ戦の中止が決まり、冒頭で記したように、戻ってきた指揮官がメディアの取材に応じた。 取材を終えたときには、すでに日が暮れかかっていた。もっとも、郊外ではコンビニエンスストアも開いていたため安心していたが、中心部へ近づくごとに灯りが少なくなる。停電は郊外から解消されていったのだろう。繁華街すすきのも漆黒の闇に包まれていて、この時点で夕食はあきらめた。