SBI社長、傘下銀公的資金を返済すれば「グループ飛躍の契機」
(ブルームバーグ): SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は10日の投資家向け決算説明会で、傘下のSBI新生銀行が抱える公的資金をいかに返済するかが最大の関心事の一つだとして、「返済すればグループ飛躍の契機になる」と述べた。
説明会の資料では公的資金の返済手法について過去の事例を参考に挙げた。一つは政府系金融機関が保有する普通株を優先株に転換し、毎期の特別配当を通じて返済するケース。もう一つは、同様に優先株に転換後、企業価値を高めた上で再上場を実施し、その後段階的に優先株を買い取るケース。
SBIは昨年、株式公開買い付け(TOB)によってSBI新生銀を非公開化した。約3300億円の公的資金の返済手法に市場の注目が集まっており、具体的な仕組みについては2025年6月末までに決定する。北尾社長は「金利上昇局面を見据え銀行事業へ経営資源を傾斜配分し、収益力の徹底強化を推進する」とも述べた。
また、あおぞら銀行買収への関心を問われたのに対して「興味はないと言うのはうそになる」と答えた。公開情報などを見ているというが、具体的に進展しているわけではないとも述べた。SBIは地方銀行との連携による「第4のメガバンク構想」を進めている。
一方、傘下のSBI証券が昨年9月末から日本株の売買手数料などの無料化を実施したが、24年1-3月期(第4四半期)の営業収益は四半期ベースで過去最高となった。信用取引の残高や投資信託の信託報酬がそれぞれ過去最高だったという。北尾氏は想定通りの状況になったとした上で、グループ全体に「顧客基盤の拡大とシェア増加というポジティブな効果が波及した」と述べた。
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Nao Sano