「本当に幸せな一日でした」中村憲剛氏、5年越しの引退試合は異例の110人超が参戦「皆さんに感謝」
2020年限りで現役引退したサッカーJ1・川崎のOBで、元日本代表MF中村憲剛さん(44)が引退試合を行った。コロナ禍を経て5年越しに実現した特別な一日には、現役時代に川崎や代表で共にプレーした選手を中心に異例の110人超が参戦。試合では5得点1アシストの大活躍で、様々なイベントも実施されたラストマッチを華々しく締めくくった。 特別なピッチで憲剛さんが有終の美を迎えた。終了間際にゴール正面で迎えた直接FK。右足から放たれたボールは、相手GK以外の低めにしゃがんだ“20枚の壁”を越えて、ネットを揺らした。1本目をGKにキャッチされ、蹴り直しの末に生まれたこの日5点目となるラストゴールに「2本目をしっかり決めることができて、自分のプレーヤーとしての時間は終わったので、皆さんに感謝したいと思います」。背番「14」づくしで祝福され、ピッチ上では選手が「14」の人文字を作った。最後まで笑顔があふれる時間を過ごした。 20年シーズンを最後に現役を引退したが、同年は新型コロナが猛威をふるい、人数制限や声出し応援の禁止などがあり、ファンやサポーターに、18年間の現役生活に別れを告げる場面が限られた。ようやく4年の時を経て、この日はスタンドから何度も自身のチャントを歌ってもらい、チケットは完売の2万2014人。下2ケタも「14」になった。「本当に幸せな一日でした。自分の見ている景色は最高でした。皆さんが楽しんでいるのを見て、僕も楽しんでいた。悔いはないです。これ以上ない、引退試合でした」。数々の功績を残した川崎のレジェンドの物語が完結した。(後藤 亮太) ◆吉田沙保里さんから強烈タックル 引退試合の前に行われたエキシビションマッチで、憲剛さんが思わぬ“ラフプレー”を受けた。相手チームで出場したレスリング女子五輪3連覇を含む4大会連続メダリストの“霊長類最強女子”吉田沙保里さんから、プレー中にタックルを食らった。直前に「タックル、タックル」と小声で伝えていたという憲剛さんは「気がついたら倒れていました。世界を制したタックルはこれかと。まさか等々力の芝生の上で体感するとは思いませんでした」と笑顔で振り返った。
報知新聞社