マルクス・ガブリエルと名和高司による特別対談! 資本主義は今、曲がり角に来ているのか?
資本主義から共産主義や社会主義へ、成長から反成長や脱成長へという新しい考え方もありますが、その中で資本主義はどうすれば生き残るのでしょうか。こうした外部資産をもっと充実させるべきでしょうか。 ■矛盾している最近の試み ガブリエル:共有財を社会経済領域から完全に切り離して考えるのは間違いです。社会主義や共産主義を復活させようとする最近の試みは矛盾しています。なぜかというと、自然と人間の間に明確な区別があることを前提としているからです。
彼らのストーリーは、自然は共有財で、そこにある生態系は誰も管理できないし、すべきでもない。あるいは、ただ私たちに与えられているだけで、資本主義の過剰生産に脅かされている、というものですよね。そこでは自然を人間社会と対立させていますが、それは実際の生命科学の知識とほど遠いものです。 ■共産主義は危機対応に強いわけではない ガブリエル:マルクスが社会主義思想に関する論文を書き始めたのは、ダーウィンの時代ですが、私たちの科学知識は当時をはるかに超えています。
微生物学革命や地球システム科学、その他の生命科学のおかげで、自然は人間と別物だとするのは誤りだとわかっています。資本主義を再び弱体化させる共産主義的な戦略は時代錯誤で、現代の科学的知識の水準に達していません。 もちろん、共有財は存在しますが、それは共有物です。たとえば、資本主義はつねに法的、政治的な条件下でのみ展開されてきました。私有財産は社会的なもので、人がいろいろ交渉した結果であり、だからこそ保護されなければならない。
それとまったく同じ意味で、自然は長い間、人間社会の一部でした。アマゾンの先住民たちも、近代国家においても、私たち人間が海、海底、森林などを当たり前に所有してきました。 私たちが今目にしている生態系の危機は、人間が住む領域外における啓示ではなく、隠れたエージェント(行為主体)が存在しています。自由民主主義の立場から私たちがすべきなのは、共有財の概念を見直すこと。何を所有してはいけないかではなく、何を所有すべきかを考えることです。