「バラマキの印象」「力不足」 経済対策を識者が分析 持続可能な成長を見据えた視点必要
政府は22日に閣議決定した総合経済対策について、景気の刺激や国民の負担軽減につながると強調する。だが、その中身を見ると、従来の給付金・補助金の延長・再開が目立ち、専門家からは「バラマキの印象が強い」との声も上がる。石破茂政権として最初の経済対策にも関わらず、目新しさにも欠ける。 【年代別でみる】石破内閣を「支持する」が「支持しない」を上回った唯一の年代は? 内閣府は今回の経済対策によって、実質国内総生産(GDP)が21兆円程度押し上げられると見込む。今後3年程度にならした場合の年成長率は1・2%程度という。また、2025年1月に再開する電気・ガス料金の補助に関しては、2~4月の消費者物価を前年同月比で0・3ポイント程度押し下げると試算する。 とはいえ、目玉であるはずの住民税非課税世帯への3万円の給付は昨年の対策の延長に過ぎない。電気・ガス料金の補助もいったん終了した措置の再開だ。その他の施策も具体的な目標数値が示されない項目が多い。 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは「ある程度の金額を積めばGDPが押し上がるのは当然だ」と指摘。人手不足など日本経済が抱える構造的な課題の解決こそ重要だと訴える。 経済対策が充実していれば、海外からの投資の呼び水にもなる。しかし、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「従来の政策の付け足しで力不足だ」との見方を示す。 最大の注目点となる「103万円の壁」や「ガソリン減税」については検討事項とされた。年末の税制改正に向けた議論では、持続可能な成長を見据えた戦略的な視点が必要だ。(根本和哉)