奇抜な半円形の屋根には深い理由があった…都心の森と隣り合う100坪の土地に立つ医院併用の二世帯住宅
そこは、まさに“空の洞窟”
空間に包まれる安心感と、そこから見える景色への開放感。相反する体感が共存する住宅を、井川さんは「SKYCAVE(空の洞窟)」と名付けました。
南側に設けた静寂な中庭
借景と反対の南側には、2~3階が吹き抜けでつながる中庭も設けています。お母さまの暮らす2階は道路側を閉じる一方、この外部空間に面することで自然の気配を取り込んだのです。高さ約6mの壁で囲った外壁には凹凸のある塗装を選び、騒音が響かない静寂な庭を叶えました。 1階クリニックも同様に、門扉をくぐると塀で守られた小さな庭が出迎え、緊張感をほどくプライベートな空間へ一変。建物全体を通じて借景や庭を巧みに組み込み、駅前の立地とは思えない快適な別世界を創り上げています。 ご主人が少年の頃、日本家屋の屋根に上り都市部の景色を眺めたことが思い出に残っているそう。今はその風景が日々の暮らしと共にあります。街に根付くクリニックは、将来ご主人のお子さんが継いでまた一緒に暮らす日が来るかもしれない。敷地のメリット・デメリットを設計の力で昇華させただけでなく、建て主のライフスタイルを象徴するような唯一無二の豊かな住まいが完成しました。