予習動画は8年前のマッチレース シャウフェレが同組ローズとの死闘を制す
◇メジャー最終戦◇全英オープン 最終日(21日)◇ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)◇7385 yd(パー71) 【画像】白米と味噌汁に…納豆!? シャウフェレの定番朝食 前回、ロイヤルトゥルーンで「全英オープン」が行われたのは2016年。最終日はヘンリック・ステンソン(スウェーデン)とフィル・ミケルソンの一騎打ちとなり、当時の大会最少ストロークに並ぶ「63」で回ったステンソンがメジャー初優勝をさらった。 2位ミケルソンと3位との差は、実に11ストロークという“二人旅”。「今週に向けてモチベーションを上げるため、フィルとヘンリックのハイライトを観戦した。その甲斐は、あったと思う」と、今年の全英チャンピオンに輝いたザンダー・シャウフェレは話した。
ことし、そんな8年前の戦いを彷彿とさせる死闘を演じたのが、ともに首位と1打差から同組でプレーしたシャウフェレとジャスティン・ローズ(イングランド)だった。ローズが2番のバーディを皮きりに前半でスコアを伸ばす一方、シャウフェレは後半のスパートでリーダーボードを上がっていった。 序盤から上位が目まぐるしく入れ変わる大混戦。ローズは8番(パー3)で5m弱のバーディパットを沈めて通算6アンダーで首位に並ぶと、こぶしを振り上げて感情をあらわにする。一方のシャウフェレは4つ目のバーディを奪った13番で首位に立ち、14番(パー3)で4m弱のバーディパットを決めて2打のリードを築いた。
優勝を決定づけたのは、2打リードのまま迎えた16番(パー5)。2打目でピン手前20ydまで運ぶと、3打目を1.5mにつけてグリーンは大歓声に包まれた。これを沈めて通算9アンダーとし、2ホールを残して2位のローズらに3打差。最終18番は6mのバーディパットが惜しくも入らず悔しさをにじませたが、バーディで締めたローズらを2打差で振り切った。 「今までのトーナメントで、最も難しいバックナインのひとつだった」と話したシャウフェレ。メンタル面において「腹を立てないようにするのと同じように、あまり浮かれすぎないようにしていた」という。自らを鼓舞するかのように大きなリアクションを繰り出すローズに対し、静かに淡々としたプレーが印象的。18ホールをともにしたローズは「彼の最も評価されていない武器のひとつは、おそらくメンタルだと思う」と称賛した。
シャウフェレは「物ごとは思い通りに進むときもあれば、そうでないときもある。プレーしているとき、今日は自分が多くのことをコントロールできていると感じた」と振り返る。冷静さを保ち続けたメンタルコントロールで、5月「全米プロ」に続くメジャー2勝目を勝ち取った。「1年にメジャーで2勝するなんて夢のよう」。表彰式で、やっと満開の笑顔を見せた。(スコットランド・トゥルーン/谷口愛純)