「ゼロゼロ融資」利用後の倒産 2023年は631件で前年の約1.4倍 2020年7月からの累計は1,216件
2023年の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は前年の約1.4倍、3月には過去最多の63件発生
2023年のゼロゼロ融資を利用後の倒産は631件(前年比39.2%増)だった。3月には、集計開始以来最多の63件が発生した。民間金融機関の返済開始が最初のピークを迎えた7月前後は約60件の高水準で推移しており、今年4月に迎える返済ピーク前後の動向から目が離せない。 負債総額は1,452億5,700万円(同22.9%増)で、2月は過去最大の188億1,900万円にのぼった。ただ、11月以降は100億円を割り込み、小・零細企業の行き詰まりが多いことを示した。
【産業別】サービス業他が3割超
産業別では、サービス業他が221件(前年比67.4%増)で最多、全体の3割超(構成比35.0%)を占めた。 次いで、建設業128件(前年比56.0%増)、卸売業84件(同15.0%増)、製造業83件(同9.2%増)、小売業56件(同30.2%増)、運輸業29件(同9.3%減)、情報通信業20件(同185.7%増)、不動産業7件(同40.0%増)、農・林・漁・鉱業3件(同50.0%増)の順。金融・保険業(前年1件)は発生しなかった。 10産業のうち、8産業で増加、2産業で減少した。
【業種別】飲食店が84件で最多
業種分類別(中分類)は、「飲食店」が84件で最多。コロナ禍の業況不振で財務内容が悪化したところへ、食材費や人件費、光熱費が上昇。コストアップに耐え切れず事業継続を断念したケースが目立つ。 次いで、「総合工事業」61件、「職別工事業」42件が続く。資材の高騰や調達難に加えて、人手確保難にも見舞われ、受注機会を逸するケースもあった。 このほか、燃料費高騰の煽りを受けた「道路貨物運送業」が22件発生した。
【形態別】破産が9割
形態別では、破産が572件(前年比34.9%増)で、9割(構成比90.6%)を占めた。特別清算10件(前年比66.6%増)と合わせた『消滅型』倒産は582件(同35.3%増)発生した。 『再建型』倒産は、民事再生法が10件(同150.0%増)発生、会社更生法は前年と同様に発生しなかった。 このほか、取引停止処分が36件(同100.0%増)で倍増した。