西部ガスが北九州市「ひびきLNG基地」に3基目タンク増設へ…投資額500億円台、貯蔵能力6割引き上げ
西部ガスは、北九州市若松区にある液化天然ガス(LNG)の受け入れ拠点「ひびきLNG基地」に、3基目となるLNGタンクを増設する方針を固めた。脱炭素化に向けて国内外で高まるLNGの需要を取り込むためには、基地の貯蔵能力の増強が不可欠と判断した。投資額は500億円台となる見通しだ。 【写真】即席ラーメンの「マルタイ」は西部ガスの関連会社
月内にも取締役会で正式に決める。関係者によると、増設の可否を決めるため同社が今秋に実施した入札で複数の企業から金額の提示を受け、投資できる範囲に収まることを確認した。既存の2基(各18万キロ・リットル)より容量が大きい23万キロ・リットルのタンクを2029年度に増設して基地の貯蔵能力を6割引き上げ、国内だけでなく、LNGの需要が旺盛な東南アジアに供給することを視野に入れている。
LNGは二酸化炭素(CO2)の排出量が比較的少ないことから、熱源に石炭などを利用する工場などで切り替える動きが拡大傾向にある。西部ガスは大口の需要に対応できないケースもあったことから19年以降にタンクの増設を検討していたが、原材料価格や建設費の高騰で事業費が膨らみ、採算が取れない恐れもあるとみて、今年3月、入札の結果を踏まえて決めることを明らかにしていた。
ひびきLNG基地は、西部ガスグループが約660億円を投じて14年に運用を開始した。基地の隣接地では、LNGを燃料とする火力発電所の建設を九州電力と共同で進めており、25年度末にも運転を始める予定だ。