【日本市況】株式続落、米CPI控え円が方向感欠く-債券先物小幅高
為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=143円台前半で明確な方向感なく推移した。9月の米大幅利下げ観測が後退しドルを下支えする半面、米国の大統領選討論会やCPI待ちの雰囲気も強い。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、来週のFOMCに向けた重要な材料だった雇用統計が決め手に欠け、相場は「どちらにも動きづらい展開」と指摘。「米国では大統領選挙のテレビ討論会、8月のCPI。国内では日本銀行の中川順子審議委員と田村直樹審議委員の講演を控える中、様子見になっている」と述べた。
米国では10日夜(日本時間11日午前)に民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が初めて顔を合わせる大統領選候補者のテレビ討論会が開かれる。11日に発表される8月米CPIは前年同月比で2.5%上昇と7月(2.9%上昇)から伸びが鈍化する見通しだ。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストはテレビ討論会に関し、このところ両候補の政策が近くなっており、「どちらが大統領になってもインフレ圧力がかかりそうな政策内容だ」と指摘。討論会自体は「注目されているので手掛かり材料になる可能性はあるものの、ドル・円の方向感をつけるものにはならないのではないか」と話した。
債券
債券相場は先物が小幅高。夜間取引での上昇を受けて買いが先行した。その後は伸び悩み、下げに転じる場面もあった。5年国債入札は無難な結果だった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは5年国債入札の結果について、「テール(落札価格の最低と平均の差)は前回より強く、総じて無難な結果だ」と評価。予想通りの結果を受けて相場の反応は限定的だとした上で、12日にタカ派とされる日銀の田村審議委員の講演を控えていることから「徐々に売りが優勢になるのではないか」と述べた。
入札結果によると、最低落札価格は99円88銭と市場予想と一致した。小さいと好調を示すテールは2銭と、前回の5銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.76倍と、前回3.51倍から上昇した。