インフルエンザワクチン接種で「アルツハイマー型認知症」リスク3割減 テキサス大推計
テキサス大学ヘルスサイエンスセンターの研究グループは、「インフルエンザワクチンを接種した人は、認知症の一種のアルツハイマー病の発症リスク低下の可能性がある」と発表しました。 研究結果は医学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」に掲載されています。この内容について、中路医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: テキサス大学の研究グループが実施した研究の内容について教えてください。 中路先生: 今回紹介するのは、テキサス大学ヘルスサイエンスセンターが65歳以上の患者約160万人のワクチン接種記録を元におこなった「インフルエンザワクチンの接種によって、アルツハイマー病の発症リスクが軽減されるかもしれない」という研究結果です。 研究によると、三種混合ワクチン、帯状疱疹ワクチン、および肺炎球菌ワクチンを接種した人は、接種していなかった人と比較して、その8年後以内にアルツハイマー病を発症するリスクが著しく低いと報告しています。 具体的には、三種混合ワクチンを受けた人はリスクが30%低く、帯状疱疹ワクチンでは25%、肺炎球菌ワクチンは27%低かったという数字が示されています。 2022年6月に同じ研究チームがおこなった研究では、インフルエンザワクチン接種がアルツハイマー病の発症リスクを40%軽減させるというデータも出ています。 さらに、2021年にセントルイス・ワシントン大学医学部が実施した研究でも、「インフルエンザワクチンは認知症リスク軽減に関係がある」と同様の結果を示しています。 研究グループは「この研究結果はワクチン接種が特定の感染病予防ではなく、免疫システムを訓練することで認知症リスクを低減する可能性があるという仮説と一致するものである。 もし、ワクチンが認知症を低減する原因要素と認められれば、現在の予防策より優れた効果を持つ安価で低リスクな治療法を提供できる」と述べています。