県が乳児死亡の原因調査へ 和歌山県田辺市の認可外保育施設で、検証委
和歌山県田辺市下万呂の認可外保育施設「託児所めぐみ」(休園)で2023年7月、生後5カ月の女児がうつぶせの状態で意識不明となり病院搬送後に死亡した問題を巡り、県は5日、有識者らによる第1回「検証委員会」を開いた。県がさらに詳細な事実確認を進め、それを基に再発防止策などが議論される。 【乳児うつぶせで窒息死か 田辺の認可外保育施設で預かり中、和歌山県が検証への記事はこちら】 県によると、死亡したのは田辺市を訪れていた際に預けられていた大阪府泉大津市の女児。寝返りでうつぶせとなり、窒息した可能性がある。国の指導監督基準では、認可外保育施設で複数の乳幼児をみる場合、2人以上の保育者が必要とされているが、当時は1人で4人をみていたという。 検証委員は弁護士や小児科医、保育施設経営者、保育関係の学識経験者ら5人で、原因を究明し再発防止策などを報告書にまとめる。 委員会は非公開で開かれた。県から事案の概要の説明があり、委員からは布団の状況や保育士がどのようなチェックをしていたかなど詳しい経緯について確認が必要だと意見があったという。県は施設や、県から認可外保育施設の指導監督権限を委譲している田辺市に追加して聞き取りを進める。 委員会終了後に報道陣の取材に応じた県こども未来課の戎脇伸晃課長は「速やかに検証を進めたい」とした上で「子どもを預かる大切な施設。特に小さい子どもについては詳細に気を付けるべき点がある。小さな施設であっても守られるよう、市町村とともに取り組んでいきたい」と話した。 ■過去に行政指導 田辺市 「託児所めぐみ」を巡り、田辺市が過去に再三、保育者の配置基準を守るよう指導していたことが分かった。 市は毎年、職員の配置状況などを調べる立ち入り調査を実施している。このうち2013~15年度の計3回について、国の基準を満たす保育者を配置するよう行政指導をしていた。23年1月の立ち入り調査では、特に指摘すべき事項はなかったという。 施設は乳児死亡直後から休園している。今回の事案を受け、市は今年5月に施設の立ち入り調査を実施。6月に改善勧告を出した。
紀伊民報