築100年を超える英国の豪邸を大規模リノベーション!4人家族が暮らしやすくするために変な間取りをどう変えたのか
理想の物件を購入をしたものの、使い勝手がいまいち…。そんなとき、どうしますか?気に入ったエリアに住みたいとは思いながらも、不動産市場の現状に頭を悩ませていたクロエ・キャンベルとイアン夫妻は、思い切って20世紀初頭に建てられたエドワーディアン様式のヴィラを購入しました。 【写真集】築100年を超える英国のヴィラをリノベーション。テーマは「タイムレス」 この時代の建築的特徴がクロエの心をとらえたのです。「印象的だったのは、古くチャーミングな扉や思いがけない装飾です」と彼女は振り返ります。「自分たちの心に従い、購入を決めました」
この家がまとう雰囲気は、夫妻にとって完璧でした。ただ、問題だったのは、少し変わったレイアウト。幼い2人の子供を抱える彼らにとっては使いづらいものでした。庭はほぼ使用不可能。それは、庭というより敷地前の道路から続く坂道。その途中には、もう一本の小道が通っていました。そんな"庭"を望む部屋は形式ばっていて、温もりが感じられず。また、キッチンは家の奥にひっそりと佇み、他の場所から切り離されていたのです。 ここで登場するのが、アイヴィー・レイン・インテリアズのインテリアデザイナー、キャスリン・アランです。キャスリンの自宅を訪れたクロエは、その洗練されたクラシックなスタイルの虜になり、新居のリノベーションを託すことを決意。 話を聞いたキャスリンが提案した解決策は、思い切ったものでした。「家を回転させることにしたんです」 リノベーションを終えた今、家の正面に配置されているのは、L字型にまとめられたオープンプランの娯楽・リビングエリア。太陽の光が降り注ぐ、その空間の中心は(かつて隅に追いやられていた)キッチン。ダイニングとリビングがそれを挟みます。窓から見えるのは、整地された庭園と、今回増築したユーティリティ・ルームが入る離れ。「室内に『流れ』をつくり、どこにいても家全体を見渡せるようにしたいと思っていました」とクロエはいいます。
奥まったエリアには、心地よい書斎や家族それぞれの部屋、それからスクールバックなど散らかりがちな日用品をしまう便利な収納スペースが入ります。「あらゆるものに、置き場所が用意されているんです」とクロエ。「すべてがうまく機能していて、私たちが家族として暮らしていくうえでとても実用的な空間に仕上がりました」 構造面においてかなりの変更が必要だったものの(家の中心部を通っていた大きな煙突も取り除きました)、プロジェクトはすべての段階において、この建物の歴史に配慮して進められました。オリジナルの特徴は、可能な限り丁寧にアップデート(煙突を伴った暖炉は、元の姿を模した炉胸と薪ストーブに姿を変えています)。そして、室内の随所に設置されたカスタムメイドの建具が、この家の豊かな歴史を強調します。