71歳団地ひとり暮らし、離婚・子ども3人の子育て・がん闘病…すべて乗り越えた先に辿り着いたもの
内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らし世帯数は年々増加傾向にあるようです。そのようななか、数々の人生の逆境を持ち前のバイタリティーで乗り越え、歳を重ねてもなお生きることの楽しさを体現しているのは、『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」 がんを乗り越えてわかった本当の幸せ』を著した、ソネ ジュンコさん。ソネさんいわく、「『楽しく生き切ること』が私の使命かもしれません」とのことで――。 【写真】植物を愛でるソネ ジュンコさん「私は年齢を重ねることが少しも怖くありません」 * * * * * * * ◆頼りにしていた実家が倒産の憂き目に バツイチで子ども3人の母子家庭とはいえ、実家が裕福であるがゆえに、経済的に困ることもなく、それまでと同じような暮らし方をしていた私ですが、2001年、ついに最大の試練が訪れます。 私の大きなよりどころであった父の会社が倒産したのです。 すでに父から代替わりして社長を務めていた弟から「とうとう会社がダメになった。姉さんの住んでいるマンションも売りに出すことになったから、1か月以内に引っ越し先を見つけて出て行ってくれ」と言われたときの衝撃を、私は一生涯忘れることはないでしょう。 私には長男・長女・次女と3人の子どもがいますが、ちょうど末っ子の次女が高校に進学するタイミングでの出来事でした。 まさにこれから子どもにお金がかかるようになる時期に、それまで「あって当然」と思っていた後ろ盾を完全に失うことになったのです。 それまで親の持つ財力にどれだけ依存してきたか、初めて突きつけられた瞬間でした。
◆お金がないことの切なさを痛感しました 実は当時のことを私はあまりよく覚えていません。 ショックが大きすぎたことと、少しでもお金をつくるために売れるものは全部売るなど、1か月以内に引っ越しをするためにしなければならないことが多すぎて、自分に考えること、覚えることをあえてストップさせたのではないかと思います。 その上、私は生来の見えっ張りときています。どんなにつらいことがあっても顔色一つ変えず、「私は平気よ」という顔をしていたいというのもありました。イヤなやつですよね……。 でもそんなかっこつけのイヤなやつだからこそ、人生最大の局面、それも天国から地獄に突き落とされるような局面を、なんとかやり過ごせたのではないかという気もするのです。 そして自分の弱さを認めることが苦手で、どんなことでも乗り越えられる人間だと思っていたい私は、あえてつらい感情に蓋をしてきたのではないかと思うのです。 今だから正直に言えます。あのときは本当につらかったです。 もの心ついてからお金の苦労を一度もしてこなかった私にとって、毎月当然のものとして入ってきていたお金が入ってこなくなるというのは、恐怖以外の何ものでもありませんでした。 もう49歳にもなっていたのですが、お金について、まったく自立できていないことに気づかされたのです。 お金がなくなるということは、頭ではわかっていたつもりです。 今まで住んでいた広々としたマンションに住めなくなるとか、車を手放さなくてはならなくなるとか……真剣に取り組んでいたつもりではありましたが、副収入のつもりでいた整体の仕事を生活のためにしていかなくてはならなくなる。 堅実な生活をしている人なら当然知っているはずのことを、私はまったく知らなかったのです。 実家が倒産したあとは、ただがむしゃらに前に進むしかありませんでした。整体院に勤めるかたわら、すでに個人でお客様の施術もしていたのですが、それこそ子どもたちの用事があるとき以外、ほとんどすべての時間を仕事に捧げていたと言っても過言ではありません。
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