フィギュア友野一希、企業プレゼンで自ら訴えかけた運命の日 契約実現の裏に1人の広報の奮闘
フィギュアスケーター・友野一希を支える第一住建グループとの物語
フィギュアスケートは年末の大一番・全日本選手権が22日まで行われた。男子シングルで12年連続12度目の出場となった友野一希は、これまでにないサポートを受けての出場に。今季から所属契約を結ぶ第一住建グループは、応援団を結成して21日のフリーで現地からエールを送った。同社は昨季のパートナー契約からより友野を支える存在となったが、その裏には1人の広報の奮闘があった。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉) 【画像】友野が企業プレゼンで座っていたイスの実物 ◇ ◇ ◇ トップスケーターが集う全日本の常連となっている友野。その熱演を、会場で特製バナーを掲げて見守る集団がいた。第一住建グループの社員で結成された応援団だ。初めてフィギュアスケートを観戦するメンバーもいたが、急遽の呼びかけにもかかわらず21日のフリーに10名以上が参加。絆が光った。 同社は不動産に関する一から十までの事業やライフスタイル事業を展開。昨季パートナー契約を結んでいたが、今季から友野本人の申し出もあって所属契約を結んでいる。所属発表時、友野は「短期間に深い絆で結ばれたと感じている」とコメントした。 きっかけは1人の広報だった。エンタメ業界で活躍していた小林りえ子さんが東京から移住し、同社に転職。このタイミングで大阪を拠点にするスポーツ選手、団体の支援の検討が始まった。経営陣にプレゼンする際、小林さんが「どうせなら1つくらい、自分の好きなスポーツを」とフィギュアスケートに目を付けたのが今に繋がっている。 友野は大阪を拠点にしており、2022年四大陸選手権で銀メダリストになるなど条件にぴったりだった。しかも小林さんは過去に生観戦し、ジャンプ、スピンだけじゃない世界観あるスケーティングが強く印象に残っていた。 「2017年のNHK杯をたまたま観客として見て、そこで初めて彼を認識しました。6練の時から目をひいて、素晴らしいスケーターであることはすぐに分かりました。たまたまですが私が宣伝していた映像作品の楽曲でも滑っていたので、余計印象に残りました」 苦労を重ねて友野との面会に成功。昨年、関空アイスアリーナで初対面を果たし、パートナー契約に至った。「会議にダメもとで提出したら、代表が意外にも『この子いいんじゃない?』って言ってくれたんです」。同社にとっては前例のない初の個人アスリート契約だったため、決定までに時間を要した。「申し訳ない、決まらないかも」と伝えていた友野に、電話で結果を報告。「うっそ!」と仰天のリアクションが忘れられない。 エンタメ業界で培った経験を活かし、小林さんは友野の相談に乗ることも多かった。カフェで友野から所属契約の申し出を受けたのは、今年1月に入ってからのことだ。