「マンションも危ない」「空き巣が勝手口を狙う理由は…」 “だまされる方が悪い”時代に強盗から身を守る方法
防犯ガラスの強度は?
一軒家に住んでいる方は勝手口やキッチン近くの窓を一度調べてみたほうがよさそうだ。もし“網”入りのガラスだった場合、防犯ガラスに替えることを考えてもいいかもしれない。 「防犯ガラスというのは一般的に2枚のガラスの間に樹脂製のシートを挟んだ構造をしています。中間膜の厚さによってガラス強度が異なり、それぞれ30mil(0.8ミリ)、60mil(1.5ミリ)、90mil(2.3ミリ)などの種類があります」 中沢氏がそう説明する。 「一般的なガラスは金属バットで1回たたくと割れてしまいます。30milの防犯ガラスだと2~3回たたいて1センチの穴が開くくらい、60milなら2~3回たたいてもヒビが入るだけ、90milだと10回たたいてようやく小さな穴が開くくらいの強度となっています」
補助金で賄える可能性も
性能によっても違うが、防犯ガラスへの交換は大きな掃き出し窓で1カ所8万円から10万円ほど。小さなトイレの窓でも5万円くらいかかるという。ただし、その一部は国や東京都の補助金で賄える可能性がある。 「防犯ガラスを選ぶ上での判断基準として、警察庁を含む官民合同会議が防犯性能が高い建物部品に対して与えている『CPマーク』というものがあります。強盗や空き巣などの侵入犯は建物の中に入るのに5分以上かかると大半が諦めるという警察庁の調査結果があり、これに基づき、割るのに5分以上かかる防犯ガラスは『CPマーク』をもらえるのです」(中沢氏)
「『だまされる方が悪い』という時代に」
立正大学教授で社会心理学者の西田公昭氏が言う。 「訪問詐欺や強盗などで高齢者が被害に遭うケースが多いのは、若者に比べて高齢者の方が圧倒的にお金を持っているから。一方、若者については闇バイトに引き入れたり、女性の場合はホスト狂いにさせて風俗に沈めたりして労働力を搾取する。『だました者勝ち』『だまされる方が悪い』という時代にすでに入っており、これまでどおりの対策だと、今後ますます犯罪は増えるでしょう」 バイト感覚で犯罪に手を染める若者に今さら道徳を説いても始まらない。われわれは現状を正確に把握した上で、自らの手で自分や家族を守るほかないのだ。 前編【「半グレみたいな風貌のやつが家に来て…」 トクリュウも関与の「屋根点検詐欺」が激増! 「詐欺に引っかからなくても闇名簿を作られる」】では、激増中の「屋根点検詐欺」の手法や対策、さらに今最も警戒しないといけない「闇名簿」について紹介している。
「週刊新潮」2024年12月12日号 掲載
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