平均年齢は68歳――年寄りが年寄りを面倒みる時代に「なんちゃって舞子」が舞い続ける理由 #老いる社会 #ydocs
山形放送
今年6月公表の「高齢社会白書」によると、日本の65歳以上の人口は3623万人で総人口(1億2435万人)に占める割合(高齢化率)は29.1%に上る。また、同白書では「毎日、人と話をする高齢者」が大幅に減少している現状なども報告されている。そんな中、高齢者が高齢者を支え、励ます活動を山形県中央部に位置する村山市とその近隣市町村で10年以上続けているのが「村山なんちゃって舞子」のメンバーたちだ。しかし、今、平均年齢68歳のなんちゃって舞子は存続の危機を迎えている。「体が動く限りは続けたい」「でも体が動かず迷惑をかけたくない」と葛藤するメンバーたちの姿を追った。
「なんちゃって舞子」の個性的なメンバーたち
山形県村山市の老人福祉施設から懐かしの歌謡曲が聞こえてきた。中をのぞくと、なんちゃって舞子のメンバー4人が、艶やかな振り袖姿で扇子を広げ、軽やかに畳の上で舞っている。施設の利用者の高齢者たちはみんなはちきれんばかりの笑顔だ。 「私たちは、村山なんちゃって舞子です」 ひときわ大きな声を上げ、場を盛り上げるのはリーダーの実栄春(みえはる)こと古瀬実栄さん(68)。最年少の直太朗こと赤松直美さん(60)は着付けの免状を持っている。最年長のたる丸こと樽石悌子さん(77)は漬物や伝統料理の先生を務めるカリスマ主婦だった。そして、宴会部長は知香こと大沼知子さん(67)は酒にまつわる武勇伝に事欠かない。 そんなユニークな4人が活動する山形県村山市の人口はおよそ2万1000人。そのうちの8900人が65歳以上の高齢者で、高齢化率は日本全体を大きく上回り42%を超える。そんな村山市で「なんちゃって舞子」の活動がスタートしたのは、11年前の2013年のことだ。地域の公民館で行われた敬老芋煮会の余興として行った舞子のパフォーマンスが大好評だったことから、本格的に活動をスタートさせた。以来、月3、4回のペースで、村山市を中心とした近隣の市町村で舞い続けている。 4人の着物は、若い頃に着ていたもの。かつらは黒いTシャツでつくっている。 「家庭科は2なんですけど、小間物をつくるのは好きですね」 リーダーの古瀬さんが話す。高校時代、演劇部だったこともあり、小道具作りはお手の物なのだという。一度作ったものを、補強しながら使い続けている。そんな古瀬さんにとって、なんちゃって舞子の活動はどんな意味を持つのだろうか。 「力を貰えます。舞子をやることによって自分が奮起できる。生きがいでしょうか」