ここにきて「世界の富裕層」から大注目を浴びている「世界レベルの美しさ」を誇る「日本のリゾート」
コロナ禍で一時失速したものの、円安の追い風などもあり、再び勢いを増しているインバウンド需要。日本経済の起爆剤としても期待されている一方で、海外観光客は大都市圏に集中しており、オーバーツーリズムの問題なども深刻化しつつある。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言 大都市圏に集中する海外観光客を地方に呼び込み、かつ、観光客過多のオーバーツリーズムを避け、経済的にも地域に寄与するにはどうすればよいか? そのヒントとなるのが「ラグジュアリー観光」だと、世界の富裕層観光地に自ら足を運んだ経験のある作家・山口由美さんが『世界の富裕層は旅に何を求めているか? 「体験」が拓くラグジュアリー観光』(4月17日発売・光文社新書)で指摘している。安全や快適さだけではない、旅に大金を投じる世界の富裕層が求めている「本物の体験」を描き出す本書より、ラグジュアリー観光による地方創生の可能性を紹介する。 ※本記事は山口由美著『世界の富裕層は旅に何を求めているか? 「体験」が拓くラグジュアリー観光』から抜粋・編集したものです。
ラグジュアリーエコツリーズムで注目される国立公園
大都市ではなく地方が注目される観光と言えば、エコツーリズムを忘れてはならない。自然の中で楽しむことが主体のエコツーリズムは、必然的に目的地が大都市ではなく地方になる。つまり、エコツーリズムの浸透は、おのずと観光客の大都市偏重を解決することになるのだ。 なかでも注目すべきは、国立公園の活用だろう。 日本の誇るべき美しい自然のほとんどは、国立公園の中にあるからだ。 その積極的な活用を目的として環境省が2016年から始めた取り組みが「国立公園満喫プロジェクト」である。設立趣旨として以下が掲げられている。 国立公園の保護と利用の好循環により、優れた自然を守り地域活性化を図ります。 1.日本の国立公園のブランド力を高め、国内外の誘客を促進します。利用者数だけでなく、滞在時間を延ばし、自然を満喫できる上質なツーリズムを実現します。 2.地域の様々な主体が協働し、地域の経済社会を活性化させ、自然環境への保全へ再投資される好循環を生み出します。 設立時に選出されたのが、阿寒摩周国立公園、阿蘇くじゅう国立公園、十和田八幡平国立公園、日光国立公園、伊勢志摩国立公園、大山隠岐国立公園、霧島錦江湾国立公園、慶良間諸島国立公園である。その後、外国人利用者数が上位を占める支笏洞爺国立公園、富士箱根伊豆国立公園、中部山岳国立公園などが加わり、全12公園が対象となっている。 このラインナップの中に日本の至宝とも言える自然が網羅されている。