“103万円の壁”道後の宿でも悩み 一方税収減の試算も【愛媛】
所得税を巡る“103万円の壁”に注目が集まる中、愛媛の現場はどう捉えているのか。 松山市の道後エリアで3つの宿泊施設を運営する「宝荘ホテル」の宮崎光彦社長に19日、話を聞くと… 【宮崎社長】 「12月になりますと、壁がこう見えてくるんですよね。これを超えると大変だということでスタッフは就業調整をするわけです。本当は働きたいし、今の人手不足の時代に会社に迷惑をかけたくないんだけど、やっぱり壁を意識してお休みするということが増えてきています」 年末は宿泊業にとってはかき入れ時ですが、パートやアルバイトが出勤できない状況もあり「スタッフからは、申し訳ない、という声が聞かれますが、逆にこちらが申し訳なく思っています」と宮崎社長は話します。 人手不足解消のためパートやアルバイトの時給を上げたものの、それによって“年収の壁”への心配が出てくるスタッフもいて、勤務時間を減らさざるをえない状況になっていることが、大きな悩みになっているということです。 足元の人材不足だけでなく、将来の人口減少を見据えても“年収の壁”は改善されて欲しい問題だと宮崎社長は感じています。 【宮崎社長】 「スタッフのもっと働いて収入を得たいという思いに応えたいというのもあります。だから制限なく気兼ねなく、働きたい時に働ける環境があればいいなあと思います」 一方、“103万円の壁”と表裏一体なのが税収です。 中村知事は20日の定例会見で、手取りの向上などでいい影響が生じる可能性はある、としながらも「国と違ってより住民に身近な市町も含めると、必要な行政サービスを提供し続ける立場にありますので税収減というのが国が考えているような生易しいものではないということだけは申し上げておきたい」と懸念を示しました。 県の試算によりますと“103万円の壁”を“178万円”に引き上げた場合、県で年間約250億円、県内20市町で計約260億円、あわせて愛媛全体で500億円超の税収減が見込まれるということです。 【中村知事】 「国には制度の見直しによって地方の行政運営に支障が生じることがないようにしっかりと責任ある対応をしていただきたい」