【インタビュー】「民主党は労働者の党に戻れ...」サンダースがハリスに示す勝利への道筋
サンダースが見るアメリカの現実とハリス陣営の課題
今のアメリカでは所得と富の不平等が極端なレベルにまで達している。医療制度は破綻し、機能不全で、それなのに医療費は途方もなく高い。しかも私たちは世界で一番高い処方薬を買わされている。こんな状況で、このままで済むと思うか? 国民はみんな、政府が何とかしてくれることを願っている。しかし新たに選出された議員が首都ワシントンにやって来ると、たちまち保険会社や製薬会社、そのほかの大企業に雇われたロビイストに囲まれてしまう。しかも選挙になると、こういう連中が莫大な献金をしてくれる。 だから首都の政界では、問題の見え方が違う。庶民、そして地方に住む人たちの議論とまるでかみ合わなくなる。処方薬の値段を下げるとか、そういう主張を進歩的と呼ぶのもはばかられる。こんなのは、むしろ常識的な主張だと思わないか。 今回の世論調査のデータを見れば分かるはずだ。民主党系であれ共和党系であれ無党派層であれ、とにかくアメリカ国民の大多数は、今ここにある経済危機に対する常識的な解決策を求めている。 ──ハリスとウォルズは、そういう政策を選挙戦でどう訴えればいいのか。有権者にはどんなメッセージを伝えればいい? 大事なのは、国民が苦しんでいるという事実を率直に認めることだ。国民の60%が今は貯金の余裕もない暮らしをしている。ならば連邦レベルの最低賃金を現行の時給7.25ドルから引き上げ、まともに暮らせる水準にすればいい。普通の人が処方薬を買えないなら価格を下げればいい。 大事なのは働く人たちのニーズに応えるような話をし、業界のロビイストや大口献金者の意向など気にしないこと。そうすれば民主党系でも無党派層でも共和党系でも、とにかく国中の労働者の心に響くメッセージを発信できるはずだ。 ──副大統領候補のウォルズは真の進歩派なのか。彼を選んだのは党内の進歩派に配慮した結果か? どうかな、私には分からん。彼のことは知っているが、よくは知らない。しかし彼が素敵に平均的なアメリカ人で、田舎の州の出身だということは知っている。田舎の人間。これが大事だ。首都の政界はあまりにも長く田舎を無視してきた。 次に大事なのは、彼が高校の教師でアメフトのコーチだったという事実。そして最後に、彼は州知事としてずっと労働者に寄り添い、労働組合の味方をしてきた。 彼はミネソタ州の最低賃金引き上げに努力した。州内の子供たちに朝食と昼食を無料で提供するプログラムにも尽力した。これは非常に重要なことだ。女性の権利のためにも立ち上がっている。つまり、州知事としての彼は一貫して労働者の、そして普通の人たちの味方だった。