トランプ大統領就任で注視すべきは「立憲・野田氏」の対米姿勢 米国からはすでに“ポチ”だと思われている 古賀茂明
■野田氏は自民党と同じ米国の「駒」 この発言から読み取れる、野田立憲代表に対する米国の期待は、以下のようなことだと考えられる。 「立憲民主党は、現行の集団的自衛権行使を容認する法律は違憲だと言っているが、集団的自衛権は米国にとって非常に重要なので、もし、立憲がその破棄を強く主張すれば深刻なことになるが、野田代表はそんなことはしない」 「野田氏は、米国で高く評価されている。できれば、自民との大連立政権を作って欲しい。そうすれば、米国が、中国やロシアや北朝鮮と対峙する上で安心して、日本を米国の戦略の中に位置付けることができる」 つまり、野田氏は、自民党の政治家と全く同じ米国の駒として見られているということだ。 野党が多数を取ったとは言え、その中核となる野党第一党の党首が、与党自民党政治家と同様に米国追従のポチであるとみなされている。米国の専門家から自民との連立の可能性まで指摘されて大きな期待をされているのだが、「政権交代前夜」と銘打って戦った立憲の選挙戦は一体何だったのだろうか。 米国の専門家が詳細に分析した上で下したそのような野田氏の評価は、皮肉なことに、私がかねて主張してきたことと全く同じだ。 日本の平和主義が空洞化しているという現実があるが、それが権力の側に立っている自民党の中で起きているだけでなく、平和主義の担い手だったはずのリベラル勢力の中でも起きているということは深刻だ。 多くの日本人は、米国の専門家が気づいているこの事実に、全く気づいていないのではないだろうか。繰り返し言っていることだが、そのことこそが、日本の真の危機なのだ。 103万円の壁だけでなく、また、政治資金規制のあり方だけでなく、日本の外交安全保障政策、特に集団的自衛権廃止を含めた対米外交の見直しの議論を一日も早く始めてもらいたい。 野田立憲代表がそれをやらないとすれば、米国が見ているとおり、野田氏は米国のポチだということが証明されたと言われても仕方ないだろう。
古賀茂明