トランプ大統領就任で注視すべきは「立憲・野田氏」の対米姿勢 米国からはすでに“ポチ”だと思われている 古賀茂明
アメリカの大統領選の結果の分析が始まった。 トランプ前大統領圧勝の理由としてさまざまな要因が挙げられるが、そのうちの一つに、ハリス副大統領による「民主主義の危機」の訴えが空回りしたという評価がある。トランプ氏が独裁主義者で、彼が大統領になれば、米国の民主主義が破壊され、米国民が独裁政治の犠牲になるというのは、客観的には正しいように思えるが、有権者の心にはそれほど響かなかったというのだ。一方、トランプ氏は、インフレと移民の脅威はハリス氏の責任だと訴えたが、そちらの方が有権者にアピールできたというのである。 【写真】「またトラ」で分断深刻化 トランプ氏が激戦州全て制する圧勝 現地で何が起きたのか 米3大ネットワークは、基本的に反トランプの論調が強いが、選挙後の放送では、選挙中の民主党キャンペーンで見られた困難な状況について、比較的正直に報じているものがあり、参考になる。 例えば、民主党の支持者が、選挙中に苦労したのは、戸別訪問でハリス支持を訴える時、「トランプ氏が当選したら、アメリカの民主主義が危機に陥る」という話をしても、多くの人々は、インフレによって日々の生活に精いっぱいで、「民主主義の危機? So what?」という反応だったというエピソードがある。 「だからどうした? 私は今それどころじゃない」と言われて、二の句が継げなくなる場面が多く、さらには、「そんな話をしに来ること自体が、民主党が庶民のことをわかってない証拠だ」と非難されることさえあったという。 確かに、私が今年7月にニューヨークに1カ月滞在した時に人々と接した実感でも、特に食料品や日用品、また、ガソリンの値上がり幅が非常に大きく、これでは低所得層のみならず、中産階級でも相当な打撃を受けているだろうということは容易に想像できた。 最近はかなり落ち着いてきたが、それでも一度上がった食料品価格などが下がるわけではなく、生活苦は全く改善されていないと感じるのは当然のことだ。 トランプ氏は、インフレと移民問題の解決は俺に任せろと豪語し、多くの有権者がそれを信じて投票した。 しかし、トランプ氏が2期目の大統領に就任すれば、まさに民主主義を否定するような行動を連発することが予想される。例えば、イエスマン以外の官僚の大量解雇、過去の自己の犯罪の恩赦、親しい者たちの犯罪に関する司法への介入、移民の権利の侵害、女性の中絶の権利の制限などから始まり、警察、さらには州兵まで動員してのデモなどの市民活動の弾圧も行う可能性がある。また、イーロン・マスク氏など親しいビジネス関係者への規制緩和による便宜供与なども強引に進めるだろう。