米国、レバノンで60日間の停戦向け「取り組み」 ロイター報道
イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を巡り、ロイター通信は30日、外交関係者らの話として、米国が60日間の一時停戦に向けた取り組みを始めていると報じた。ただ、ヒズボラの新たな指導者に選ばれたカセム師は同日、テレビ演説で「我々は何カ月でも戦える」と語っており、交渉は難航も予想される。 ロイター通信によると、新たな停戦案は、休戦期間中にレバノン南部の非武装化などを求めた2006年の国連安全保障理事会決議を完全に履行し、本格的な停戦につなげるとの内容。イスラエルはヒズボラが停戦を履行しない場合は空爆などの軍事的手段を取ることを認めるよう求めているという。 一方、ヒズボラはパレスチナ自治区ガザ地区の停戦が戦闘をやめる条件だと主張してきた。カセム師も30日の演説で「イスラエルが停戦を決めるなら、条件が合えば受け入れる。だが、いまのところ受け入れ可能な提案は議論されていない」と語った。 レバノンでは南部で地上戦が続いているほか、首都ベイルートや東部ベカー平原など各地で激しい空爆も相次いでいる。30日にはイスラエル軍が東部バールベックでも住民に退避勧告を出し、空爆を行った。 米国は9月下旬、日本やフランスなどとの共同声明で21日間の停戦を提案したが、イスラエル軍は直後にヒズボラの最高指導者だったナスララ師を空爆で殺害し、9月末には地上侵攻に踏み切った。 イスラエル軍は06年にもレバノン南部に侵攻し、ヒズボラと約1カ月間戦っている。このとき採択された国連安保理決議は停戦の条件として、イスラエル軍の撤退とヒズボラの非武装化などを求めたが、ヒズボラは武装解除には応じていなかった。【カイロ金子淳】